俺だってヒーローになりてえよ

何が足りないかって、あれだよあれ。何が足りないか分かる能力。

【随時更新】小説中毒が厳選した最高に面白い小説92選(実質109選)

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※2017年10月16日更新

 

どうも、ひろたつです。

学生時代からロクな友達もおらず、社会人になってからもそれは変わらずで、人としゃべる時間があったらひたすら読書に明け暮れていた生活を送っています。今までに読んだ小説の数は2000冊ぐらいでしょうか?

そんな私がこの世に数ある小説の中から「これは超オモシロイ!」とテンションが上がってしまった小説91冊(関連作品を含めると実質106冊)を紹介いたします。

小説というものはその性質上、長い時間をかけて最後まで付き合ってあげないとオモシロイかどうかが分かりません。今までつまらない小説に出会ってどれだけムダな時間を過ごしたことか…。

みなさんには私が経験したような人生の無駄遣いはしてもらいたくありません。そしてもっとこの珠玉の作品たちを世に知らしめたい!そんな想いでこの記事を仕上げました。

ぜひお楽しみください。そしてもし私が紹介した中に「超オモシロイ!」と思える小説があったら周りの方に紹介してみてくださいね。

 

※紹介する順番はあえてメチャクチャにしています。

 

 

⇒一気読み必至のマンガたちはこちら

orehero.hateblo.jp



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1 新世界より 著:貴志祐介

 

 


子供たちは、大人になるために「呪力」を手に入れなければならない。一見のどかに見える学校で、子供たちは徹底的に管理されていた。いつわりの共同体が隠しているものとは―。何も知らず育った子供たちに、悪夢が襲いかかる。


天才作家貴志祐介の最高傑作をまず紹介しましょう。彼が発表する作品はどれもこれも高品質。それゆえに非常に寡作な作家であります。

その作品たちの中でも抜きん出た傑作がこちらの『新世界より』です。著者の想像力と圧倒的な知識が生み出したこのディストピア小説に睡眠時間が奪われること間違いなし!とにかくのめり込めます。

個別紹介記事→貴志祐介の最高到達点『新世界より』を読むしかない




2 検察側の罪人 著:雫井脩介

蒲田の老夫婦刺殺事件の容疑者の中に時効事件の重要参考人・松倉の名前を見つけた最上検事は、今度こそ法の裁きを受けさせるべく松倉を追い込んでいく。最上に心酔する若手検事の沖野は厳しい尋問で松倉を締め上げるが、最上の強引なやり方に疑問を抱くようになる。正義のあり方を根本から問う雫井ミステリー最高傑作!

 

これは凄え…。雫井脩介の最高傑作と銘打つに相応しい作品。

 

敏腕検事最上(もがみ)は学生時代に可愛がっていた少女をとある殺人事件で失った過去を持つ。そしてその事件の犯人と確実視されていた男“松倉”が今また別の事件の参考人として自分の目の前に現れた。今度こそ奴に法の裁きを下すことができるのか。しかし状況は…。

 

新人検事の沖野は最上に憧れている。今回の事件で最上と初めて一緒に仕事をすることに。憧れの存在に認められたい気持ちから“松倉”への激しい追求を繰り返す。

しかし、捜査が進むにつれ松倉が犯人である可能性が少しずつ失われていく。一体真実は?そして捜査は怪しい雲行きへと…。

 

彼らふたりの物語と葛藤を描きながら、弩級の濃厚さで我々読者に「正義の存在」を見せつけてくる。 

『犯人に告ぐ』とは違い派手なドンパチがあるわけでもないのに、上下巻をのめり込むように楽しませてくれる。その手腕にはさすがの一言。やっぱり上手いわ、この人。

 

ちなみにタイトルの『検察側の罪人』は、ミステリーの女王アガサ・クリスティの『検察側の証人』のオマージュである。

 

Kindleで読む方はこちらの「合本」で購入すると安上がり。上下巻で別々に買わないようご注意を。

合本 検察側の罪人【文春e-Books】 

 

 

個別紹介記事→最初から最後までずっと面白い。でもずっと苦しい。『検察側の罪人』雫井脩介 

 

3 マリアビートル 著:伊坂幸太郎

幼い息子の仇討ちを企てる、酒びたりの元殺し屋「木村」。優等生面の裏に悪魔のような心を隠し持つ中学生「王子」。闇社会の大物から密命を受けた、腕利き二人組「蜜柑」と「檸檬」。とにかく運が悪く、気弱な殺し屋「天道虫」。疾走する東北新幹線の車内で、狙う者と狙われる者が交錯する――。

小説は、ついにここまでやってきた。映画やマンガ、あらゆるジャンルのエンターテイメントを追い抜く、娯楽小説の到達点! 

 

超高打率作家伊坂幸太郎が放つ、最高の“殺し屋小説”。なんと登場人物の9割以上が殺し屋、という訳の分からない設定で、しかもそれが東北新幹線の中に閉じ込められるのだから、面白いことが起こるのは間違いないだろう。

新幹線のスピード感に負けないレベルで展開される“伊坂エンタメ”を存分に食らいなされ。

 

個別紹介記事⇒物語におけるリアリティの重要性。伊坂幸太郎『マリアビートル』

 

 

こちらは一応シリーズものになっているのだが、内容に繋がりはほとんどないので、読む順番などは気にしなくてもOK。

 

シリーズ1作目がこちら。大人気。

 

次作がこちら。まだ未読です。

 

4 誘拐 著:五十嵐貴久

 

 


歴史的な条約締結のため、韓国大統領が来日する。警察が威信をかけてその警護にあたる中、事件は起きた。現職総理大臣の孫が誘拐されたのだ。“市民”を通じて出された要求は、条約締結の中止と身代金30億円。比類なき頭脳犯の完璧な計画に、捜査は難航する―。鮮やかなラストに驚愕必至のクライム・ヒューマンサスペンス。


犯罪小説の中でも作家の腕が非常に試されるのが誘拐小説です。数ある誘拐小説の中でも五十嵐貴久の”誘拐”はその完成度で抜きん出た傑作です。よくぞここまで練り上げたと拍手を送りたくなります。
ここまで気持ちよくしてくれる犯罪小説を私は知りません。


個別紹介記事→作者が緻密に組み上げた最強の犯罪小説。五十嵐貴久『誘拐』

 

5 傍聞き 著:長岡弘樹

 

 

患者の搬送を避ける救急隊員の事情が胸に迫る「迷走」。娘の不可解な行動に悩む女性刑事が、我が子の意図に心揺さぶられる「傍聞き」。女性の自宅を鎮火中に、消防士のとった行為が意想外な「899」。元受刑者の揺れる気持ちが切ない「迷い箱」。まったく予想のつかない展開と、人間ドラマが見事に融合した4編。表題作で08年日本推理作家協会賞短編部門受賞。


短編には長編よりもさらに作家に才能が求められます。限られた文字数の中でどれだけ読者に物語を伝え、そして翻弄するのか。
この作者、なかなかの手練です。そしてその冴え渡る技がここに炸裂しています。
私たちは長岡弘樹が用意した迷路の中をひたすら進むだけでいいのです。それだけで見たこともないような場所へ連れてってくれますよ。


6 4TEEN 著:石田衣良



 

銀座から地下鉄で10分、木造の長屋ともんじゃ焼きとスカイラインを切り取る超高層マンションが調和して共存する町・月島。この町で僕たちは恋をし、傷つき、死と出会い、いたわり合い、そして大人になっていく…。14歳の中学生4人組が1年間に出会った8つの瑞々しい物語。


思春期の少年たちが主人公なので、大人の私たちは「青春あるある」をこの作品に求めるでしょうが、きっとその期待は裏切られます。設定があまりにも特異で、とても現実の私たちが過ごしたような青春とは似ても似つかないような物語が展開されます。
ただ、この作品の中で展開される少年たちの感情の動きはまさしく青春そのもの!キラキラと澄んだ水が光を反射するかのように私たちの心を穏やかにしてくれます。腐った心を浄化してくれる清涼飲料水的な小説です。


個別紹介記事⇒こんな青春があってもいい。石田衣良『4TEEN』



7 天地明察 著:冲方丁

 

 

徳川四代将軍家綱の治世、ある「プロジェクト」が立ちあがる。即ち、日本独自の暦を作り上げること。当時使われていた暦・宣明暦は正確さを失い、ずれが生じ始めていた。改暦の実行者として選ばれたのは渋川春海。碁打ちの名門に生まれた春海は己の境遇に飽き、算術に生き甲斐を見出していた。彼と「天」との壮絶な勝負が今、幕開く―。日本文化を変えた大計画をみずみずしくも重厚に描いた傑作時代小説。第7回本屋大賞受賞作。


本屋大賞にハズレはありません。この作品もご多分に漏れず、かなりの名作です。
日本独自の暦を作り上げるという壮大なプロジェクトを緻密に描き切った時代小説ですが、最大の魅力はそんな謳い文句の中にはありません。断固として違います!

読めば分かるのですが、これは最強のキャラ小説です。出てくるキャラクター達にいちいち魅了されます。特に水戸光圀はヤバいです。読んでいて私は「あーっ、こいつで別の作品を書いてくれー!!」と身悶えしたぐらいでした。そしたら案の定、作者も気に入っていたようで翌年発売されました。そちらもオススメです。

 

個別紹介記事⇒これは最高のキャラ小説である。冲方丁『天地明察』


こちらが光圀を主人公に据えた作品です。虎と呼ばれた男に惚れること間違いなしです。



8 悪意 著:東野圭吾



 

人気作家が仕事場で絞殺された。第一発見者はその妻と昔からの友人。逮捕された犯人が決して語らない動機にはたして「悪意」は存在するのか。


人気作家東野圭吾が作家として最高に脂が乗っていた時期の著作です。この時期の作品はどれもこれも異常なクオリティを有していて、本気で「中に何人いるんだよ!」と言いたくなるほどでした。
こちらは作中作を中核に犯人の動機をひたすらに煮詰めた作品になっています。犯罪小説の中でもこれだけ犯人の動機で面白さを生み出している作品を私は知りません。作品に振り回されて最高にエキサイトします。


9 陽気なギャングが地球を回す 著:伊坂幸太郎



 

嘘を見抜く名人、天才スリ、演説の達人、精確な体内時計を持つ女。この四人の天才たちは百発百中の銀行強盗だった…はずが、思わぬ誤算が。せっかくの「売上」を、逃走中に、あろうことか同じく逃走中の現金輸送車襲撃犯に横取りされたのだ!奪還に動くや、仲間の息子に不穏な影が迫り、そして死体も出現。映画化で話題のハイテンポな都会派サスペンス。


これはですねぇ、読書の面白さを素直に感じさせてくれる良作ですよ。
伊坂幸太郎作品どれにも言えることなんですけど、まず引用が素晴らしいですよね。全然興味ないんですけど、ジャン=リュック・ゴダールに影響を受けたような気になるんです。
そして緻密に練り上げられた物語の構成と思わずニヤリとしてしまう登場人物たちの会話。最初から最後までずーっと面白いです。伊坂作品を手に取ったことがない方はまずこちらから。

 

個別紹介記事⇒面白い小説が読みたい?では「陽気なギャングが地球を回す」を読みましょう


著者としては珍しく直接的なシリーズになっています。続編も変わらないクオリティなので読んで損なしです。というか、一作目を読んだら続編を読まずにはいられない面白さです。万人問わない希少な作品ですね。
大概のシリーズ物ってのは回を重ねるごとにクオリティが下がるものですが、そこはやはりさすがの伊坂。ずっと面白いです。伊坂本人もこのシリーズに関しては「ひたすら読者が面白いと思えるように」書いているそうなので、私たちも安心して彼の手の平で踊り狂うことができるってもんです。

 

 

10 カラフル 著:森絵都



 

生前の罪により、輪廻のサイクルから外されたぼくの魂。だが天使業界の抽選にあたり、再挑戦のチャンスを得た。自殺を図った少年、真の体にホームステイし、自分の罪を思い出さなければならないのだ。真として過ごすうち、ぼくは人の欠点や美点が見えてくるようになるのだが…。不朽の名作ついに登場。


こちらは児童文学になります。いや、ちょっと待って下さい。児童文学というだけで「幼稚そうだな…」と決めつけていませんか?もしそんな風に考えて児童文学を避けているようであれば、かなりの機会損失です。感動の機会損失。
児童文学というぐらいですから子供が読むものなんですけど、結局書いているのは大人ですからね。しかもこの『カラフル』は直木賞を取った森絵都による著作です。大人の心だって余裕で鷲掴みにしますよ。
こちらの作品は映画化もされています。やはり名作はクリエイターが放っておかないですね。

 

個別紹介記事⇒『カラフル』は森絵都の最高傑作だし、大人が読むと浄化されちゃう本


11 クリムゾンの迷宮 著:貴志祐介



火星の迷宮へようこそ。ゲームは開始された。死を賭した戦慄のゼロサムゲーム。一方的に送られてくるメッセージ。生き抜くためにどのアイテムを選ぶのか。自らの選択が明日の運命を決める―!


貴志祐介作品にハズレはほとんどないのですが、こちらはその中でも傑作です。日本のデスゲーム小説のパイオニアですね。発売当時はそこまで話題になりませんでした。というのもバトルロワイアルが発売されたのが同時期なんですよね。どちらも愛読書の私ですが、優劣はつけられませんし、どちらもデスゲーム小説の醍醐味である頭脳戦が駆使されていますから。

個別紹介記事⇒面白い本が読みたい?では貴志祐介の『クリムゾンの迷宮』を読みましょう。

 

12 バトルロワイアル 著:高見広春



 

西暦一九九七年、東洋の全体主義国家、大東亜共和国。城岩中学三年B組の七原秋也ら四十二人は、修学旅行バスごと無人の島へと拉致され、政府主催の殺人実験を強制される。生還できるのはたった一人。そのためにはただクラスメイト全員を殺害するのみ―。現代日本を震撼させたジェットコースターデスゲーム・ノヴェル、ついに文庫化。


ということでこちらも紹介しましょう。デスゲーム小説の金字塔、バトルロワイアルです。小説好きで読んでいない方はいないですよね?
中学生同士が殺し合うというショッキングな内容ですが、くだらない倫理観など捨て去ってフィクションの世界を楽しみましょう。
私は中学生のときにこの作品に出会ったのですが、朝から読み始めて外が暗くなるまでひたすら貪るように読みました。思えばあれば一番最初の読書体験だったかもしれません。


13 ハードボイルドエッグ 著:荻原浩



 

中学の頃にフィリップ・マーロウのようなクールな探偵になることを心に決め、とうとう脱サラして事務所を開いた私。だが、来る依頼は動物の捜索ばかり。おまけにとんでもない婆さんを秘書に雇うはめになり…。


孤高の探偵フィリップ・マーロウをご存知でしょうか?知らなくてもこの作品は十分に楽しめます。
クールでシリアスな探偵になりたい主人公最上ですが、彼の周りで起こるのは珍騒動ばかり。それでもクールさを装い続けようとする主人公の内面とのギャップが笑いを誘います。
バカだけど愛すべき主人公と人間ドラマで織り上げられた名作です。読後の爽やかさが印象的です。

個別紹介記事⇒『ハードボイルド・エッグ』には荻原浩の魅力が詰まっている


 

続編はこちら。遜色ない出来かと。

 

14 最悪 著:奥田英朗



 

不況にあえぐ鉄工所社長の川谷は、近隣との軋轢や、取引先の無理な頼みに頭を抱えていた。銀行員のみどりは、家庭の問題やセクハラに悩んでいた。和也は、トルエンを巡ってヤクザに弱みを握られた。無縁だった三人の人生が交差した時、運命は加速度をつけて転がり始める。比類なき犯罪小説、待望の文庫化。


この作者は熱量が高い作品を得意としている一方で、直木賞を獲得した『空中ブランコ』のようにコメディータッチの作品でも力を発揮できる稀有な作家です。

私はどちらの奥田英朗も好きなのですが、作品に没頭できる度合いでいくとこういった長編作品の方です。彼の作家としての魅力が余すところなく発揮されていますね。
主人公を多数用意することで、物語の山場をいくつも作り上げる手法をとった小説を群像劇なんて呼びますが、彼の手にかかるとここまでのエンターテイメント作品に昇華されます。内容を語るのは野暮というものでしょう。我々はただひたすらに奥田英朗が用意したシナリオに乗っかってさえいれば、最高に楽しめるんですから。

個別紹介記事⇒最悪という名の最高の読書体験を喰らえ。奥田英朗『最悪』



15 フェルマーの最終定理 著:サイモン・シン



 

17世紀、ひとりの数学者が謎に満ちた言葉を残した。「私はこの命題の真に驚くべき証明をもっているが、余白が狭すぎるのでここに記すことはできない」以後、あまりにも有名になったこの数学界最大の超難問「フェルマーの最終定理」への挑戦が始まったが―。天才数学者ワイルズの完全証明に至る波乱のドラマを軸に、3世紀に及ぶ数学者たちの苦闘を描く、感動の数学ノンフィクション。


名前を見て食わず嫌いしないでください。この作品は面白い小説を探している人は避けて通れないものです。
大丈夫です。もしあなたが数学を嫌いだとしても、苦手だとしても、本書の中で繰り広げられる「フェルマーの最終定理」への数学者たちの苦悩に満ちたドラマが必ず胸の打つことでしょう。

碁のルールが分からなくても『ヒカルの碁』が楽しめるように、将棋に興味がなくても羽生善治が好きになるように、この真実の物語の虜になれます。文句なしの傑作です。私も正直、中に書いてある内容はほとんど理解できませんでしたが、それでもこみ上げてくる高揚感は抑えられませんでした。

余談ですが、この本を高校のあるクラスに読ませたところ急に数学の成績が上がったという逸話がアマゾンのレビューに載っていました。


個別紹介記事⇒数学に感動させられる。傑作『フェルマーの最終定理』を紹介する




16 殺戮に至る病 著:我孫子武丸



 


永遠の愛をつかみたいと男は願った――東京の繁華街で次々と猟奇的殺人を重ねるサイコ・キラーが出現した。犯人の名前は、蒲生稔! くり返される凌辱の果ての惨殺。冒頭から身も凍るラストシーンまで恐るべき殺人者の行動と魂の軌跡をたどり、とらえようのない時代の悪夢と闇を鮮烈無比に抉る衝撃のホラー。


正直に言いましょう。この作品、めちゃめちゃグロいです。そういうのが苦手な人はあまりオススメしません。万人受けする作品ではないことは私も重々承知です。ですが、それでもこの作品をぜひオススメしたい!
我孫子武丸という作家は登場人物に憑依するのが非常に上手いのですが、この作品でもその才能を爆発させています。もうね、読書中の私は完全にサイコ・キラーでしたよ。殺人鬼です。そう錯覚させるぐらい丁寧に書き込まれています。え?サイコ・キラーの心理なんか興味ないって?いえいえ…この作品の肝はそこじゃないんですよ。じゃあそれが何かというと、読んで貰わないとダメですねー。

個別紹介記事⇒エログロもここまで来ればむしろ爽快。我孫子武丸『殺戮に至る病』



17 掏摸 著:中村文則



 


東京を仕事場にする天才スリ師。ある日、彼は「最悪」の男と再会する。男の名は木崎―かつて仕事をともにした闇社会に生きる男。木崎は彼に、こう囁いた。「これから三つの仕事をこなせ。失敗すれば、お前を殺す。逃げれば、あの女と子供を殺す」運命とはなにか、他人の人生を支配するとはどういうことなのか。そして、社会から外れた人々の切なる祈りとは…。大江健三郎賞を受賞し、各国で翻訳されたベストセラーが文庫化。


紹介文にもある通り、作中に出てくる「最悪」な男、木崎がすんばらしく魅力的です。いや最悪な奴なんですよ。でもねこいつが出てくるたびに胸の内から出てくるんですよ。ワクワクが。これはもう仕方ないですね。ヤクザだろうがヤク中だろうが、魅力があるやつには勝てません。

そして、この作者の最大の功績は木崎という最高に魅力的な悪魔を創造したことです。

個別紹介記事⇒中村文則の最大の功績を見よ。『掏摸(スリ)』





18 魔術師(イリュージョニスト) 著:ジェフリー・ディーヴァー



 

ニューヨークの音楽学校で殺人事件が発生、犯人は人質を取ってホールに立てこもる。警官隊が出入り口を封鎖するなか、ホールから銃声が。しかし、ドアを破って踏み込むと、犯人も人質も消えていた…。ライムとサックスは、犯人にマジックの修業経験があることを察知して、イリュージョニスト見習いの女性に協力を要請する。


アメリカが生んだ稀代のストーリーテラー、ジェフリー・ディーヴァーです!この人の著作はどれもこれもジェットコースターのような作品ばかり。脳みそ空っぽにして純粋に楽しめます。
その中でもこちらのリンカーン・ライムシリーズは著者の代名詞的存在です。一度読み始めたらかならず病みつきになるでしょう。得意のどんでん返しも四方八方からやってきます。心してかかりなさい!


19 ガダラの豚 著:中島らも



 


アフリカにおける呪術医の研究でみごとな業績を示す民族学学者・大生部多一郎はテレビの人気タレント教授。彼の著書「呪術パワー・念で殺す」は超能力ブームにのってベストセラーになった。8年前に調査地の東アフリカで長女の志織が気球から落ちて死んで以来、大生部はアル中に。妻の逸美は神経を病み、奇跡が売りの新興宗教にのめり込む。大生部は奇術師のミラクルと共に逸美の奪還を企てるが…。超能力・占い・宗教。現代の闇を抉る物語。まじりけなしの大エンターテイメント。日本推理作家協会賞受賞作。


上の紹介文にはまじりけなしの大エンターテイメントと書いてありますが、私の意見は真反対です。むしろまじりものだらけのエンタメごった煮のような作品です。中島らもお得意の笑いをベースに繰り広げられる重厚な物語は読み終わった後に、疲労感を感じるほどです。私が紹介する本はどれもこれも唯一無二なものばかりですが、『ガダラの豚』ほどオリジナリティ溢れる作品はありません。

個別紹介記事⇒混じり気だけで出来たエンタメの傑作小説。中島らも『ガダラの豚』




20 ある閉ざされた雪の山荘で 著:東野圭吾



 


早春の乗鞍高原のペンションに集まったのは、オーディションに合格した若き男女七名。これから舞台稽古が始まるのだ。豪雪に襲われ孤立した山荘での殺人劇である。だが一人また一人、現実に仲間が消えていくにつれ、彼らの中に疑惑が生じる。果してこれは本当に芝居なのか、と。一度限りの大技、読者を直撃。


あんまりねー、大トリックとか言いたくないんですよねー。それだけでネタバレみたいなものですし。ただ、タイトルを見る限り、東野圭吾は私たちに「よくある雪の山荘ものです。心してかかってください」と挑戦している印象を受けます。作品自体も東野圭吾が推理小説の限界を模索していた時期のものだけあって、かなり挑戦的です。

東野作品はほとんど読んでいますが、やはりこの時期の東野圭吾は本当に神がかっていましたね。
推理小説好きもそうでない人にも背負投げを食らわせる傑作です。

個別紹介記事⇒東野圭吾の限界突破。『ある閉ざされた雪の山荘で』




21 太陽の塔 著:森見登美彦



 

私の大学生活には華がない。特に女性とは絶望的に縁がない。三回生の時、水尾さんという恋人ができた。毎日が愉快だった。しかし水尾さんはあろうことか、この私を振ったのであった!クリスマスの嵐が吹き荒れる京の都、巨大な妄想力の他に何も持たぬ男が無闇に疾走する。失恋を経験したすべての男たちとこれから失恋する予定の人に捧ぐ、日本ファンタジーノベル大賞受賞作。


バカな大学生を描かせたら日本一の作家、森見登美彦のデビュー作です。
彼が今のように売れるはるか前に私は書店でこの『太陽の塔』を手にしました。
最初の数行読んだだけであまりの面白さに驚愕したのが今でも忘れられません。評判とか関係なしに本を衝動買いしたのは後にも先にもこれだけでしたねー。

個別紹介記事⇒これ以上阿呆に溢れた冒頭文を知らない。『太陽の塔』森見登美彦




22 奪取 著:真保裕一



 


偽札をつくりあげた者が勝利者となる!傑作長編
1260万円。友人の雅人がヤクザの街金にはめられて作った借金を返すため、大胆な偽札作りを2人で実行しようとする道郎・22歳。パソコンや機械に詳しい彼ならではのアイデアで、大金入手まであと一歩と迫ったが…。日本推理作家協会賞と山本周五郎賞をW受賞した、涙と笑いの傑作長編サスペンス!


これは凄い!読んでいる内に一緒に偽札作りをしたくなる欲求が抑えきれなくなります。タイトルの『奪取』はダッシュとかけているんだと思います。この疾走感たるや、まさにDASH!

個別紹介記事⇒比類なき犯罪小説『奪取』の爽快感に酔いしれる

 




23 密室殺人ゲーム王手飛車取り 著:歌野晶午



 


“頭狂人”“044APD”“aXe(アクス)”“ザンギャ君”“伴道全教授”。奇妙なニックネームの5人が、ネット上で殺人推理ゲームの出題をしあう。ただし、ここで語られる殺人はすべて、出題者の手で実行ずみの現実に起きた殺人なのである…。リアル殺人ゲームの行き着く先は!?歌野本格の粋を心して堪能せよ。


日本ミステリー界の鬼才歌野晶午による、非常に企み深い作品です。この男が仕上げてきた小説がまともに終わる訳がありません。発売当時は真似する人間が出てくるのではと危惧された問題作です。とくとご覧あれ。


個別紹介記事⇒鬼才が挑むミステリーの新たな可能性。歌野晶午『密室殺人ゲーム王手飛車取り』

 

続編はこちら。

 

24 青の炎 著:貴志祐介



 


櫛森秀一は、湘南の高校に通う十七歳。女手一つで家計を担う母と素直で明るい妹との三人暮らし。その平和な家庭の一家団欒を踏みにじる闖入者が現れた。母が十年前、再婚しすぐに別れた男、曾根だった。曾根は秀一の家に居座って傍若無人に振る舞い、母の体のみならず妹にまで手を出そうとしていた。警察も法律も家族の幸せを取り返してはくれないことを知った秀一は決意する。自らの手で曾根を葬り去ることを…。完全犯罪に挑む少年の孤独な戦い。その哀切な心象風景を精妙な筆致で描き上げた、日本ミステリー史に残る感動の名作。


嵐の二宮和也主演で実写映画化されたこの作品。映画の方は見てませんが、原作は文句なしの傑作。
物語の中にはよく頭の良い主人公がたびたび登場しますが、こちらも同じです。主人公の櫛森秀一は非常に頭のいい高校生です。ですが、まだ17歳。子供でもなく大人でもない彼の孤独な戦いに胸を打たれます。

安定の貴志祐介クオリティで、徹夜必至の作品です。

個別紹介記事⇒青さゆえの犯行が痛々しい。貴志祐介『青の炎』




25 アヒルと鴨のコインロッカー 著:伊坂幸太郎



 


引っ越してきたアパートで出会ったのは、悪魔めいた印象の長身の青年。初対面だというのに、彼はいきなり「一緒に本屋を襲わないか」と持ちかけてきた。彼の標的は―たった一冊の広辞苑!?そんなおかしな話に乗る気などなかったのに、なぜか僕は決行の夜、モデルガンを手に書店の裏口に立ってしまったのだ!注目の気鋭が放つ清冽な傑作。第25回吉川英治文学新人賞受賞作。


今では売れっ子中の売れっ子の伊坂幸太郎ですが、この作品で完全に知れ渡りましたね。破壊力といい、作中にたびたび出てくるボブ・ディランの引用といい、センスが炸裂してます。伊坂作品の味わいはクセになりますね~。

個別紹介記事⇒伊坂幸太郎がいかに優秀なセールスマンか理解できる『アヒルと鴨のコインロッカー』



 

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26 告白 著:湊かなえ



 


我が子を校内で亡くした女性教師が、終業式のHRで犯人である少年を指し示す。ひとつの事件をモノローグ形式で「級友」「犯人」「犯人の家族」から、それぞれ語らせ真相に迫る。第29回小説推理新人賞受賞。


湊かなえって性格悪いのかな…?そんなことを思わせるほどに主人公の女性教師が犯人を追い詰める様子が残酷です。でもその残酷さがエンタメになっているんですから!超背徳感!

個別紹介記事⇒『告白』湊かなえの性格の悪さが滲み出る極上のエンタメ作品!




27 秘密 著:東野圭吾



 


妻・直子と小学5年生の娘・藻奈美を乗せたバスが崖から転落。妻の葬儀の夜、意識を取り戻した娘の体に宿っていたのは、死んだはずの妻だった。その日から杉田家の切なく奇妙な“秘密”の生活が始まった。映画「秘密」の原作であり、98年度のベストミステリーとして話題をさらった長篇、ついに文庫化。


人格が入れ替わるなんていう、ありきたりな設定もここまで真剣に向き合うと、こんなにも残酷で胸を打つ物語に昇華します。この仕事を成し遂げた東野圭吾に拍手。最後まで読まなきゃ損です。

個別紹介記事⇒小説の神が微笑んだとしか思えない発想。 『秘密』東野圭吾

 

28 クリス・クロス-混沌の魔王 著:高畑京一郎



 


MDB9000。コードネーム“ギガント”。日本が総力を結集して造り上げたスーパーコンピュータである。世界最高の機能を誇るこの巨大電子頭脳は、256人の同時プレイが可能な仮想現実型RPG「ダンジョントライアル」に投入された。その一般試写で現実さながらの仮想世界を堪能する参加者たち。しかし、彼らを待っていたのは華やかなエンディングではなく、身も凍るような恐怖だった…。第1回電撃ゲーム小説大賞で「金賞」を受賞した高畑京一郎が描き出す驚愕の仮想現実世界。日本初のバーチャルRPGノベルが、今、文庫で起動する―。


ずいぶんと昔の小説がですが、仮想現実を題材にした傑作です。超超遅筆作家の高畑京一郎なんですが、いい作品しか発表しないことで有名なんです。偏見を持たずに読みなされ!

時代先読み度…☆×5


29 空中ブランコ 著:奥田英朗



 


伊良部総合病院地下の神経科には、跳べなくなったサーカスの空中ブランコ乗り、尖端恐怖症のやくざなど、今日も悩める患者たちが訪れる。だが色白でデブの担当医・伊良部一郎には妙な性癖が…。この男、泣く子も黙るトンデモ精神科医か、はたまた病める者は癒やされる名医か!?直木賞受賞、絶好調の大人気シリーズ第2弾。


こうやってまとめて紹介すると、自分が誰のファンなのか思い知らされますね。個人的には奥田英朗をそんなに好きになったつもりはなかったのですが、いざ名前を挙げてみると奥田作品だらけになってしまいました。
それだけ毛色の違う傑作を量産できる作者ということですかね。

って作品の紹介全然してませんでした。まあ直木賞受賞作品ですし、ドラマ化もされてますし、そのクオリティは誰もが認めるところでしょう。ちなみにこちらは二作目で、一作目のイン・ザ・プールも遜色ない面白さです。が、三作目の町長選挙は全然面白くないので読まなくて大丈夫です。

個別紹介記事⇒バカが核心を突く快感。奥田英朗『空中ブランコ』



 

30 失はれる物語 著:乙一 



 


目覚めると、私は闇の中にいた。交通事故により全身不随のうえ音も視覚も、五感の全てを奪われていたのだ。残ったのは右腕の皮膚感覚のみ。ピアニストの妻はその腕を鍵盤に見立て、日日の想いを演奏で伝えることを思いつく。それは、永劫の囚人となった私の唯一の救いとなるが…。表題作のほか、「Calling You」「傷」など傑作短篇5作とリリカルな怪作「ボクの賢いパンツくん」、書き下ろし最新作「ウソカノ」の2作を初収録。


”切なさの名手”乙一本領発揮の作品です。救いようのない話と言ってしまえばそれまでですが、胸の内に秘めた葛藤も、乙一の淡白も柔らかい文章によって、すっと私たちの心に染みこんできます。
読んでいる最中に「上手い!」と声を出してしまいました。

個別紹介記事⇒悲しみは美しい。乙一『失はれる物語』


31 噂 著:荻原浩



 


「レインマンが出没して、女のコの足首を切っちゃうんだ。でもね、ミリエルをつけてると狙われないんだって」。香水の新ブランドを売り出すため、渋谷でモニターの女子高生がスカウトされた。口コミを利用し、噂を広めるのが狙いだった。販売戦略どおり、噂は都市伝説化し、香水は大ヒットするが、やがて噂は現実となり、足首のない少女の遺体が発見された。衝撃の結末を迎えるサイコ・サスペンス。


あの荻原浩がミステリー?!と懐疑的でしたが、これが大当たり!こんなのも書けちゃうんですよこの男は。
「いつもとは違うのを書いてみました!キャピッ!」的な作品ではありません。巧みな人物描写とストーリーテリングで瞬く間に衝撃のラストまで運ばれます。読むべし!

個別紹介記事⇒ミステリーの醍醐味はここにある。荻原浩『噂』




32 犯人に告ぐ 著:雫井脩介



 


闇に身を潜め続ける犯人。川崎市で起きた連続児童殺害事件の捜査は行き詰まりを見せ、ついに神奈川県警は現役捜査官をテレビニュースに出演させるという荒技に踏み切る。白羽の矢が立ったのは、6年前に誘拐事件の捜査に失敗、記者会見でも大失態を演じた巻島史彦警視だった―史上初の劇場型捜査が幕を開ける。第7回大藪春彦賞を受賞し、「週刊文春ミステリーベストテン」第1位に輝くなど、2004年のミステリーシーンを席巻した警察小説の傑作。


まさに時代を席巻した作品です。元々いい作品を多数発表していた雫井脩介ですが、「もう一歩…!」という感じが抜けきらなかったのも事実。読みやすいのはいいんだけど、何か足りない…。
そんな作家としての殻をこの作品で見事に破ってくれました。劇場型捜査というあまりにも美味しそうな題材を華麗に調理してくれています。これは傑作!

個別紹介記事⇒ミステリー史上最も格好良い決め台詞。雫井脩介『犯人に告ぐ』



33 星を継ぐもの 著:ジェイムズ・P・ホーガン



 


【星雲賞受賞作】
月面調査員が真紅の宇宙服をまとった死体を発見した。綿密な調査の結果、この死体は何と死後五万年を経過していることがわかった。果たして現生人類とのつながりはいかなるものなのか。やがて木星の衛星ガニメデで地球のものではない宇宙船の残骸が発見された……。ハードSFの新星が一世を風靡した出世作。


世界のSF小説史上に残る名作『星を継ぐもの』です。
古い小説は読みたくないと避けているあなた!そう、そこのあなた!絶対に読みましょう。後悔はさせません。この作品が面白いことは歴史が証明しています。並の面白さの本だったらとっくに忘れ去られているはずですから。だって発表されたの1977年ですよ?それでも埋もれなかったのはこの作品でしか味わえないものがあるからに他ならないです。

個別紹介記事⇒至高のSFここにあり。J・P・ホーガン『星を継ぐもの』


34 メドゥサ、鏡をごらん 著:井上夢人



 


作家・藤井陽造は、コンクリートを満たした木枠の中に全身を塗り固めて絶命していた。傍らには自筆で「メドゥサを見た」と記したメモが遺されており、娘とその婚約者は、異様な死の謎を解くため、藤井が死ぬ直前に書いていた原稿を探し始める。だが、何かがおかしい。次第に高まる恐怖。そして連鎖する怪死。


最強リーダビリティ作家井上夢人です。この作家は恐ろしく読みやすいのが特徴です。人にイメージを伝えるすべを心得ているというか、手の平で踊らされているというか…。
そんな読みやすい作品が得意な彼がホラー小説を書くとどうなるか…?それは読んでからのお楽しみということで。

井上夢人って名前がすでに恐い度…☆×5


35 十角館の殺人 著:綾辻行人



 


十角形の奇妙な館が建つ孤島・角島を大学ミステリ研の七人が訪れた。館を建てた建築家・中村青司は、半年前に炎上した青屋敷で焼死したという。やがて学生たちを襲う連続殺人。ミステリ史上最大級の、驚愕の結末が読者を待ち受ける!’87年の刊行以来、多くの読者に衝撃を与え続けた名作が新装改訂版で登場。


もしこの作品を読んでいないのであれば、今すぐに読みましょう。生きている内でたった一度しか味わえない衝撃をこの作品がもたらしてくれます。このトリックを考案してくれた綾辻行人に感謝します。
本当に神様が微笑んだとしか思えないような偉業です。


36 白夜行 著:東野圭吾



 


1973年、大阪の廃墟ビルで一人の質屋が殺された。容疑者は次々に浮かぶが、結局、事件は迷宮入りする。被害者の息子・桐原亮司と、「容疑者」の娘・西本雪穂―暗い眼をした少年と、並外れて美しい少女は、その後、全く別々の道を歩んで行く。二人の周囲に見え隠れする、幾つもの恐るべき犯罪。だが、何も「証拠」はない。そして十九年…。息詰まる精緻な構成と、叙事詩的スケール。心を失った人間の悲劇を描く、傑作ミステリー長篇。


この作品の魅力は非常に言葉にしにくいですねぇ…。なんでしょう?雰囲気?センス?キャラクター?
全編を通じて不穏な空気がずっとつきまとってるんですけど、それがなんとも不思議な読書感覚を私たちに与えるんですよね。それが気持ちよくて、読み進まずにはいられないというか…。

ダメだ。私の拙い語彙ではこの作品の魅力を億分の一も伝えられません!とにかくめちゃくちゃ売れたんで、買って損はないと思いますよ!

個別紹介記事⇒小説界の蹂躙者である東野圭吾の真骨頂。『白夜行』

37 ジェノサイド 著:高野和明



 


イラクで戦うアメリカ人傭兵と、日本で薬学を専攻する大学院生。まったく無関係だった二人の運命が交錯する時、全世界を舞台にした大冒険の幕が開く。アメリカの情報機関が察知した人類絶滅の危機とは何か。そして合衆国大統領が発動させた機密作戦の行方は―人類の未来を賭けた戦いを、緻密なリアリティと圧倒的なスケールで描き切り、その衝撃的なストーリーで出版界を震撼させた超弩級エンタテインメント、堂々の文庫化!


小説を読んでいて、ごくごくたまに感謝することがあります。「この作品を生み出してくれてありがとう」と作者に感謝する気持ちです。
小説同士の優劣をつけるのはあまり好きではないのですが、『ジェノサイド』は抜きん出た傑作だと思います。発売当時あまりにも騒いでいるから逆に敬遠してたんですけど、読んでみたら衝撃。脳みそが溶けそうなぐらい興奮しました。こちらも最高の徹夜小説です。

個別紹介記事⇒高野和明『ジェノサイド』は最高のアドレナリン放出小説だった



38 なかよし小鳩組 著:荻原浩



 


倒産寸前の零細代理店・ユニバーサル広告社に大仕事が舞いこんだ。ところが、その中身はヤクザ小鳩組のイメージアップ戦略、というとんでもない代物。担当するハメになった、アル中でバツイチのコピーライター杉山のもとには、さらに別居中の娘まで転がりこんでくる。社の未来と父親としての意地を賭けて、杉山は走りだすが―。気持ちよく笑えて泣ける、痛快ユーモア小説。


荻原浩の真骨頂。笑いと涙でステキな読書体験をさせてくれます。やっぱりこの人上手いわー。疲れた身体と心によく効く、栄養剤のような作品です。

個別紹介記事⇒荻原浩の『なかよし小鳩組』は笑いと感動を両立させた稀有な作品

 

前作はこちら。荻原浩のデビュー作ということもあり、稚拙な部分はあるが彼の魅力は存分に発揮されている。

39 七回死んだ男 著:西澤保彦



 


どうしても殺人が防げない!?不思議な時間の「反復落し穴」で、甦る度に、また殺されてしまう。渕上零治郎老人―。「落し穴」を唯一人認識できる孫の久太郎少年は、祖父を救うためにあらゆる手を尽くす。孤軍奮闘の末、少年探偵が思いついた解決策とは。


SFとミステリーを融合させた名作『七回死んだ男』です。作者の西澤保彦はどんな脳みそしてるんでしょうかね。これは良く出来ています。読んだ後は、まさに巨大なパズルが完成したようで爽快感がたまりません!


個別紹介記事⇒パズルミステリーの金字塔。西澤保彦『七回死んだ男』

 

40 死神の精度 著:伊坂幸太郎



 


CDショップに入りびたり、苗字が町や市の名前であり、受け答えが微妙にずれていて、素手で他人に触ろうとしない―そんな人物が身近に現れたら、死神かもしれません。一週間の調査ののち、対象者の死に可否の判断をくだし、翌八日目に死は実行される。クールでどこか奇妙な死神・千葉が出会う六つの人生。


おしゃれ作家伊坂幸太郎が死神を描くとこうなります。やっぱりセンスが違うんでしょうね。いちいち私たち読者のツボを刺激してきます。連作集になっていて非常に読みやすいです。
また、死神が仕事をする話なので人が死ぬんですけど、なぜかステキな感じになっているのは、やはり伊坂幸太郎のセンスによるものなのでしょう。読後は気分が軽くなります。

 

個別紹介記事⇒『死神の精度』は侮れない

 

 

長編の方も文句なし。

41 サウスバウンド 著:奥田英朗



 


小学校6年生になった長男の僕の名前は二郎。父の名前は一郎。誰が聞いても変わってるという。父が会社員だったことはない。物心ついた頃からたいてい家にいる。父親とはそういうものだと思っていたら、小学生になって級友ができ、よその家はそうではないことを知った。父は昔、過激派とかいうのだったらしく、今でも騒動ばかり起こして、僕たち家族を困らせるのだが…。―2006年本屋大賞第2位にランキングした大傑作長編小説。


奥田英朗作品ばかりですいません。でも面白いので勘弁して下さい。こちらも映像化作品です。「映像化したからすごい」というよりは、クリエイターに「映像化したい!」と思わせたことがすごいんですよね。映画化なんてかなりの労力を伴いますから。映画化したいと思ったことあります?ないでしょ?

こちらは2006年の本屋大賞2位を獲得した作品です。だったら面白くないわけがないでしょ!

共産党もいいかな…?と思っちゃう度…☆×5


42 ハッピーエンドにさよならを 著:歌野晶午



 


夏休みのたびに私は母の実家がある田舎へ行った。新鮮な山海の料理に、いとこたちとの交流。楽しい夏の日々だ。あの部屋にさえ入らなければ…。(「死面」)理恵が合コンで出会い、付き合ったのは、容姿はよいがかなり内気な男。次第に薄気味悪い行動を取り始め、理恵は別れようとするのだが…(「殺人休暇」)。平凡な日常の向かう先が、“シアワセ”とは限らない。ミステリの偉才が紡ぎだす、小説的な企みに満ちた驚愕の結末。


歌野晶午の才能は短編でも十分に発揮されます。この切れ味はそんじょそこらの作家には出せませんよ。数ページでひっくり返りたいのであれば、これを読むべきです。

ただし、題名通り「幸せな結末」には期待しないでくださいね。読めば必ずあなたの口元には邪悪な笑みが浮かぶことでしょう。


個別紹介記事⇒ブラックな笑みをあなたに。歌野晶午『ハッピーエンドにさよならを』

 

43 悪の教典 著:貴志祐介



 


圧倒的人気を誇る教師、ハスミンこと蓮実聖司は問題解決のために裏で巧妙な細工と犯罪を重ねていた。三人の生徒が蓮実の真の貌に気づくが時すでに遅く、学園祭の準備に集まったクラスを襲う、血塗られた恐怖の一夜。蓮実による狂気の殺戮が始まった!ミステリー界の話題を攫った超弩級エンターテインメント。


黒い作品が続きますねー。こちらも伊藤英明主演で映画化されました。高校生ひとクラス全員皆殺しにするという倫理観のカケラもないクソのような作品です。ある意味バトルロワイアル以上にヒドいです。

だけど…だけど面白いんです!この感情は止められません。だって面白いんだもん。こんな作品を作った貴志祐介がいけないんです。私は悪くありません。

個別紹介記事⇒作家がエンタメに魂を売るとこうなる。貴志祐介『悪の教典』




44 くちびるに歌を 著:中田永一



 


長崎県五島列島のある中学校に、産休に入る音楽教師の代理で「自称ニート」の美人ピアニスト柏木はやってきた。ほどなく合唱部の顧問を受け持つことになるが、彼女に魅せられ、男子生徒の入部が殺到。それまで女子部員しかいなかった合唱部は、練習にまじめに打ち込まない男子と女子の対立が激化する。一方で、柏木先生は、Nコン(NHK全国学校音楽コンクール)の課題曲「手紙~拝啓十五の君へ~」にちなみ、十五年後の自分に向けて手紙を書くよう、部員たちに宿題を課した。そこには、誰にもいえない、等身大の秘密が綴られていた。青春小説の新たなるスタンダード作品、文庫化!


おっさんになると学生の青春って胸に来ますね。痛いぐらいです。目の前でこんなにキラキラされたら死ねる自信があります。
私は学生時代に吹奏楽にすべてを捧げていたのでなんか重ねちゃうんですよね。それでもこの作品の良さは、部活をやっていた人もやっていなかった人にも関係ないでしょう。
書いてるのがあの乙一ですから。中田永一というのは別のペンネームです。なんでそんなことしているのかは分かりませんが、乙一名義のときと作風が全然違うので、意識しているのは間違いないですね。

ラスト付近で訪れるあるシーンで私の涙腺は崩壊しました。


個別紹介記事⇒青春とサプライズで大人の涙腺を破壊する。中田永一『くちびるに歌を』

 

45 ジョーカーゲーム 著:柳広司



 


結城中佐の発案で陸軍内に極秘裏に設立されたスパイ養成学校“D機関”。「死ぬな、殺すな、とらわれるな」。この戒律を若き精鋭達に叩き込み、軍隊組織の信条を真っ向から否定する“D機関”の存在は、当然、猛反発を招いた。だが、頭脳明晰、実行力でも群を抜く結城は、魔術師の如き手さばきで諜報戦の成果を上げてゆく…。吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞に輝く究極のスパイ・ミステリー。


はい、出ました。スパイ小説の新たな金字塔『ジョーカー・ゲーム』です。こちらも実写化されているので、すでに有名ですかね。

この作品の最大の見所は”魔王”こと結城中佐でしょうね。映画の方は見ていないのですが、誰が演じたんですかね?あれだけの存在感を放ちつつ、それでも亡霊のような男を演じられる役者いるのでしょうか?

私は結城中佐を見たいがためだけに、続編も全て買ってしまいました。


個別紹介記事⇒スパイ×スタイリッシュ×萌え=最高。柳広司『ジョーカー・ゲーム』

 


最新刊のラスト・ワルツは読まなくても大丈夫です。理由は秘密ですけど、察してください。


46 クライマーズ・ハイ 著:横山秀夫



 


1985年、御巣鷹山に未曾有の航空機事故発生。衝立岩登攀を予定していた地元紙の遊軍記者、悠木和雅が全権デスクに任命される。一方、共に登る予定だった同僚は病院に搬送されていた。組織の相剋、親子の葛藤、同僚の謎めいた言葉、報道とは―。あらゆる場面で己を試され篩に掛けられる、著者渾身の傑作長編。


何度読み返したか分かりません。元新聞記者だった著者ならではの作品です。新聞社の裏側で繰り広げられる男たちの熱い戦いに胸がジンジンします。マジで記者という職業に憧れちゃいますね。
そして物語の軸に据えられた日航機墜落事故。数々の名作を世に出してきた横山秀夫がこの題材を扱うのだから、名作にならないはずがないですよね。

ちなみに著者お得意のミステリーではありませんので、悪しからず。


個別紹介記事⇒汗臭くて、でも何度でも読みたくなる。『クライマーズ・ハイ』横山秀夫

 

47 むかし僕が死んだ家 著:東野圭吾



 


「あたしには幼い頃の思い出が全然ないの」。7年前に別れた恋人・沙也加の記憶を取り戻すため、私は彼女と「幻の家」を訪れた。それは、めったに人が来ることのない山の中にひっそりと立つ異国調の白い小さな家だった。そこで二人を待ちうける恐るべき真実とは…。超絶人気作家が放つ長編ミステリ。


この作品も紹介するのが難しいですね~。どう話してもネタバレになりそうでイヤなんですよね。

まあこれはもう「絶対に面白いから信じて読んでください」と言うしかないですかね。後はアマゾンのレビューがほとんど☆5というのも信用するに値するんじゃないでしょうか。

緊張感すごい度…☆×5


48 永遠の0 著:百田尚樹



 


「娘に会うまでは死ねない、妻との約束を守るために」。そう言い続けた男は、なぜ自ら零戦に乗り命を落としたのか。終戦から60年目の夏、健太郎は死んだ祖父の生涯を調べていた。天才だが臆病者。想像と違う人物像に戸惑いつつも、一つの謎が浮かんでくる―。記憶の断片が揃う時、明らかになる真実とは。涙を流さずにはいられない、男の絆、家族の絆。


特攻隊というだけで我々日本人は心の琴線に触れるものがありますが、この作品も容赦なく揺さぶってきます。
泣ける小説と有名なものって、大概がラストで泣けるものですけど、この作品の場合、いたる所に泣き所があって本当に困ります。衆人環視の元では恥ずかしくて読めません。

百田尚樹のあのキャラクターのせいで、偏見を持っている人がいるかもしれませんが、死ぬまでに絶対に読むべき作品です。
これがデビュー作とは百田尚樹、恐るべし…。

泣き所多すぎ度…☆×5


49 ハサミ男 著:殊能将之



 


美少女を殺害し、研ぎあげたハサミを首に突き立てる猟奇殺人犯「ハサミ男」。三番目の犠牲者を決め、綿密に調べ上げるが、自分の手口を真似て殺された彼女の死体を発見する羽目に陥る。自分以外の人間に、何故彼女を殺す必要があるのか。「ハサミ男」は調査をはじめる。精緻にして大胆な長編ミステリの傑作。


「あなたの好きなミステリー作品を10冊あげてください」
こんな質問を2ちゃんねるのミステリー板でしたとしましょう。その答えの中に絶対に食い込んでくるぐらい、この作品は世のミステリーズ好きを虜にしました。

ちなみに著者は若くして亡くなっています。挑戦的な作品ばかりを書いていた方なので、非常に残念です。
ですがこの作品を生み出したことで、”殊能将之”の名はミステリー界では永遠に語り継がれることでしょう。


個別紹介記事⇒知り合いに勧めて好評だった小説11冊目『ハサミ男』殊能将之

 

50 たけまる文庫 謎の巻 著:我孫子武丸



 


業界初(のはず)の話題(のはず)の個人文庫、第二回配本分にして堂々の完結巻はミステリ短編を集めた「謎の巻」です。ファンおなじみの速水三兄妹のあいかわらずの推理が冴える「裏庭の死体」。2017年の東京湾を舞台に、ある有名な刑事の決死の活躍を描く「バベルの塔の犯罪」。自分自身の行動調査を探偵に依頼する不思議な中年男「青い鳥を探せ」など傑作八編。


渋すぎる選出だったようで、なんと画像がありません。天下のアマゾンでも画像が見つからないとはかなりのマイナー本ですね。

この作品は我孫子武丸が才能を炸裂させていた頃、脂が乗りまくっていた時期の作品です。短編集ですが、ひとつひとつの破壊力が素晴らしいので選出させてもらいました。古本屋でもなかなかお目にかかれない作品です。

我孫子武丸もっと小説書けよ度…☆×5


 

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51 99%の誘拐 著:岡嶋二人



 


末期ガンに冒された男が、病床で綴った手記を遺して生涯を終えた。そこには八年前、息子をさらわれた時の記憶が書かれていた。そして十二年後、かつての事件に端を発する新たな誘拐が行われる。その犯行はコンピュータによって制御され、前代未聞の完全犯罪が幕を開ける。第十回吉川英治文学新人賞受賞作。


ザ・タイトルのダサさで損をしている作品です。一時期書店で平積みされまくってましたね、岡嶋二人。
マンガではよくあるのですが、岡嶋二人というのは井上夢人と徳山諄一の2人による合作ペンネームです。主に徳山がトリックを考案し、井上夢人が文章を書くというスタイルだったそうです。中には井上夢人がネタを考えているものもあるのですが、ミステリーとはかなりかけ離れた作品になってます。面白いんですけどね。

今はコンビを解消してしまったのですが、2人が最後に書いた作品がこちらの『99%の誘拐』です。元々岡嶋二人は「人さらいの岡島」と呼ばれるほど、誘拐ネタが得意な作家でした。そんな誘拐作品の中でも最高傑作と呼び声高いのがこちら。完成度の高さに興奮すること間違いなしです。

誘拐おもしろすぎ度…☆×5


52 永遠の出口 著:森絵都



 


「私は、“永遠”という響きにめっぽう弱い子供だった。」誕生日会をめぐる小さな事件。黒魔女のように恐ろしい担任との闘い。ぐれかかった中学時代。バイト料で買った苺のケーキ。こてんぱんにくだけちった高校での初恋…。どこにでもいる普通の少女、紀子。小学三年から高校三年までの九年間を、七十年代、八十年代のエッセンスをちりばめて描いたベストセラー。第一回本屋大賞第四位作品。


森絵都は読者のツボを分かっていますね~。

子供から大人へ。これを擬似的に体験できる作品です。
森絵都の言葉のチョイスセンスが秀逸すぎて、思春期特有の”青さ”が自分の心にグサグサ来ます。読みながら黒歴史を掘り返されてるようで悶絶すること請け合いです。

この作品でしか体験できない貴重な体験をどうぞ。こっそり悶絶してください。


個別紹介記事⇒あなたの黒歴史をあぶり出す小説。森絵都『永遠の出口』

 

53 陰の季節 著:横山秀夫



 


警察一家の要となる人事担当の二渡真治は、天下り先ポストに固執する大物OBの説得にあたる。にべもなく撥ねつけられた二渡が周囲を探るうち、ある未解決事件が浮かび上がってきた…。「まったく新しい警察小説の誕生!」と選考委員の激賞を浴びた第5回松本清張賞受賞作を表題作とするD県警シリーズ第1弾。


この人、心理描写ウマすぎ。こんなに描かれたら面白くなるに決まってるじゃないですか!
そして短編としての切れ味の良さと言ったらもう…!
松本清張賞選考委員たちがうなるのも当然な珠玉の作品集です。これは超オススメです。


個別紹介記事⇒全ての謎は人の心から生まれる。横山秀夫『陰の季節』

 

54 有頂天家族 著:森見登美彦



 


「面白きことは良きことなり!」が口癖の矢三郎は、狸の名門・下鴨家の三男。宿敵・夷川家が幅を利かせる京都の街を、一族の誇りをかけて、兄弟たちと駆け廻る。が、家族はみんなへなちょこで、ライバル狸は底意地悪く、矢三郎が慕う天狗は落ちぶれて人間の美女にうつつをぬかす。世紀の大騒動を、ふわふわの愛で包む、傑作・毛玉ファンタジー。


たぬきが主人公です。というかほとんどたぬきしか出来てきません。他に出てくるのは天狗、天女?とにかく人間が出てきません。なのに…こんなに面白いのは何故なんだー!

一読すればたぬき達の毛深い愛に胸を打たれてしまう、異様な作品です。たぬきに泣かされるのは人生の中でこれっきりでしょうね。


個別紹介記事⇒舐めたらアカンぜ。隠れた名作『有頂天家族』森見登美彦

 

 

55 占星術殺人事件 著:島田荘司



 


密室で殺された画家が遺した手記には、六人の処女の肉体から完璧な女=アゾートを創る計画が書かれていた。その後、彼の六人の娘たちが行方不明となり、一部を切り取られた惨殺遺体となって発見された。事件から四十数年、迷宮入りした猟奇殺人のトリックとは!?名探偵御手洗潔を生んだ衝撃作の完全版登場!


日本に数ある推理小説の中でも最強の称号をほしいままにしている作品です。私はこの作品に出会ったために推理小説の世界にドハマリしてしまいました。

作品の中で40年間解決されなかったという事件の真相は、人間の脳みそから生み出されたとは思えないほどの衝撃をもたらします。あぁ…できることなら記憶を消して、もう一度あの感動を味わいたい…。


個別紹介記事⇒【小説紹介】島田荘司 『占星術殺人事件』 これを超えるトリックは無い。



56 ぼくらは虚空に夜を視る 著:上遠野浩平



 


…を再装填せよ、コアを再装填せよ、コアを再装填せよ。下駄箱に入っていた手紙に書かれたその無数の文字を視た瞬間、“普通の高校生”工藤兵吾は知ってしまう。今いる世界が“作られた世界”であることを。自らが人類史上始まって以来の“戦闘の天才”であることを。そして、超光速機動戦闘機「夜を視るもの」を駆り、虚空牙と呼ばれる人類の“敵”と闘う運命にあることを―!上遠野浩平が描く青春SFの金字塔、“ナイトウォッチ”シリーズ第一弾。


ちょっと毛色を変えまして、ライトノベル作家から。
私が大ファンの上遠野浩平です。ライトノベル作家だからと舐めてかからないでください。彼がこの作品を発表したあと、日本のSFファンが「ライトノベル作家がこんな興奮できるSFを書けるなんて…!」と驚きました。

日本にあるSFの中でもかなり好きな作品です。特に作中の”虚空牙”との対話は、神の存在を感じさせ、鳥肌が立つような感じを受けました。人智を越えた存在を描くのに非常に優れた作家さんです。


個別紹介記事⇒至高の設定チラリズム。上遠野浩平『ぼくらは虚空に夜を視る』

 

57 舟を編む 著:三浦しをん



 


出版社の営業部員・馬締光也は、言葉への鋭いセンスを買われ、辞書編集部に引き抜かれた。新しい辞書『大渡海』の完成に向け、彼と編集部の面々の長い長い旅が始まる。定年間近のベテラン編集者。日本語研究に人生を捧げる老学者。辞書作りに情熱を持ち始める同僚たち。そして馬締がついに出会った運命の女性。不器用な人々の思いが胸を打つ本屋大賞受賞作!


オタクが美女に微笑んでもらえるだけで幸せじゃないですか。映像化したせいか色々と文句を言われる作品ですが、読後の爽快感と充実感は読書の醍醐味だと思います。こういう経験がしたいから面白い本を探し続けているんじゃー。

不器用でもいいんだよ度…☆×5


58 殺人症候群 著:貫井徳郎



 


警視庁内には、捜査課が表立って動けない事件を処理する特殊チームが存在した。そのリーダーである環敬吾は、部下の原田柾一郎、武藤隆、倉持真栄に、一見無関係と見える複数の殺人事件の繋がりを探るように命じる。「大切な人を殺した相手に復讐するのは悪か?」「この世の正義とは何か?」という大きなテーマと抜群のエンターテインメント性を融合させた怒涛のノンストップ1100枚。


重い…重すぎる…。読むほどに胸が締め付けられる。心をえぐられる。だけど読み進めずにはいられない。それは貫井徳郎が紡ぐ物語の結末を知りたいから。彼の流麗な文章がそれを許してくれないからです。
著者の貫井徳郎は「現代版必殺仕事人」を描きたかったと語っていますが、その要素もありつつ、非常に大きなテーマに真正面からぶつかり、そして私たちに突きつけてくる作品です。目を背けちゃダメ!

個別紹介記事⇒鬱小説の隠れた名作、貫井徳郎『殺人症候群』について 



ちなみに『殺人症候群』はシリーズものです。以下の2作品が前作なります。こちらもかなりの面白さで、一気読み必至です。




59 儚い羊たちの祝宴 著:米澤穂信 






夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル「バベルの会」。夏合宿の二日前、会員の丹山吹子の屋敷で惨劇が起こる。翌年も翌々年も同日に吹子の近親者が殺害され、四年目にはさらに凄惨な事件が。優雅な「バベルの会」をめぐる邪悪な五つの事件。甘美なまでの語り口が、ともすれば暗い微笑を誘い、最後に明かされる残酷なまでの真実が、脳髄を冷たく痺れさせる。米澤流暗黒ミステリの真骨頂。


これ大好物です。数ある短編集の中でもこれだけ読者の脳みそに一撃を加える作品はないです。米澤穂信は本当に成長したなぁ…。誰にでもオススメできる上質な作品です。


個別紹介記事⇒知り合いに勧めて好評だった小説9冊目『儚い羊たちの祝宴』米澤穂信

 

60 怪笑小説 著:東野圭吾



 


年金暮らしの老女が芸能人の“おっかけ”にハマり、乏しい財産を使い果たしていく「おつかけバアさん」、“タヌキには超能力がある、UFOの正体は文福茶釜である”という説に命を賭ける男の「超たぬき理論」、周りの人間たちが人間以外の動物に見えてしまう中学生の悲劇「動物家族」…etc.ちょっとブラックで、怖くて、なんともおかしい人間たち!多彩な味つけの傑作短篇集。


東野圭吾の悪ふざけの真骨頂でございます。おふざけ小説も東野圭吾が本気で取り組むと、異常なクオリティになります。どれもこれも素晴らしいのですが、個人的なNo.1は『超たぬき理論』です。

ちなみにこの東野圭吾のおふざけ小説はシリーズになっているので、そちらもどうぞ。


個別紹介記事⇒『怪笑小説』という悪ふざけの到達点について

 

 



61 プラスティック 著:井上夢人



 


54個の文書ファイルが収められたフロッピィがある。冒頭の文書に記録されていたのは、出張中の夫の帰りを待つ間に奇妙な出来事に遭遇した主婦・向井洵子が書きこんだ日記だった。その日記こそが、アイデンティティーをきしませ崩壊させる導火線となる!謎が謎を呼ぶ深遠な井上ワールドの傑作ミステリー。


フロッピーディスクですって。懐かしくて涙が出そうですね。当時からしたら時代の最先端を行く作品だったんですけどね…。こういった技術を題材にした作品の宿命ですね。

ただ作品の肝はそこにはありません。企みに満ちた今作は作者の底意地の悪さが垣間見えます。
井上夢人が紡ぐ、他では絶対に体験できない物語をぜひ堪能してください。

どこに連れていかれるの?度…☆×5


62 とっぴんぱらりの風太郎 著:万城目学



 


天下は豊臣から徳川へ―。重なりあった不運の末に、あえなく伊賀を追い出され、京(みやこ)でぼんくらな日々を送る“ニート忍者”風太郎。その人生は、1個のひょうたんとの出会いを経て、奇妙な方向へ転がっていく。やがて迫る、ふたたびの戦乱の気配。だましだまされ、斬っては斬られ、燃えさかる天守閣を目指す風太郎の前に現れたものとは?


万城目学もデビューの頃からずっと追っていますが、どの作品を読んでも「まあこんなものか」と感じてたんですよね。万城目クオリティは発揮されてるんですけど、ずーっと同じレベルにいる感じでした。

が、

この作品で一皮むけてやがりました。何なんだこの男は。どこまで面白くなれるんだ。
余計な知識なしに、ひたすら没頭できる徹夜小説です。

夢中になった度…☆×5


63 葉桜の季節に君を想うということ 著:歌野晶午



 


「何でもやってやろう屋」を自称する元私立探偵・成瀬将虎は、同じフィットネスクラブに通う愛子から悪質な霊感商法の調査を依頼された。そんな折、自殺を図ろうとしているところを救った麻宮さくらと運命の出会いを果たして―。あらゆるミステリーの賞を総なめにした本作は、必ず二度、三度と読みたくなる究極の徹夜本です。


日本のミステリー史に燦然と輝く大傑作です。読み終われば呆然とすること請け合い。
何を書いてもネタバレになってしまうので、何も書けません。どうやって紹介したらええんじゃい!


個別紹介記事⇒知り合いに勧めて好評だった小説1冊目 『葉桜の季節に君を想うということ』歌野晶午



 

64 邪魔 著:奥田英朗



 


及川恭子、34歳。サラリーマンの夫、子供二人と東京郊外の建売り住宅に住む。スーパーのパート歴一年。平凡だが幸福な生活が、夫の勤務先の放火事件を機に足元から揺らぎ始める。恭子の心に夫への疑惑が兆し、不信は波紋のように広がる。日常に潜む悪夢、やりきれない思いを疾走するドラマに織りこんだ傑作。


またしても奥田英朗の群像劇です。この人はストーリーよりも先にキャラクター作りこむそうです。
そのおかげで登場人物たちの心情が真に迫ってきますし、作者が想像もできないような方向へ物語が進んでしまいます。

あまりにも登場人物たちの感情が伝わってくるので、人によっては「読んでて辛い…」となります。実際、私の知人に読ませた所、結構不評でした。不評でも薦めたくなる傑作です。

不快なのに面白い度…☆×5


65 タイムリープ 著:高畑京一郎



 


鹿島翔香。高校2年生の平凡な少女。ある日、彼女は昨日の記憶を喪失している事に気づく。そして、彼女の日記には、自分の筆跡で書かれた見覚えの無い文章があった。“あなたは今、混乱している。若松くんに相談なさい…”若松和彦。校内でもトップクラスの秀才。半信半疑ながらも、彼は翔香の記憶を分析する。そして、彼が導き出したのは、謎めいた時間移動現象であった。“タイム・リープ―今の君は、意識と体が一致した時間の流れの中にいない…”第1回電撃ゲーム小説大賞で「金賞」を受賞した高畑京一郎が組み上げる時間パズル。


ライトノベルですが、上質なパズルミステリーになっています。後半の解決に向かっていく流れは特に秀逸です!とにかく気持ちいい!


個別紹介記事⇒高畑京一郎の『タイム・リープ』が完成されすぎてて死ねる


 

66 旅のラゴス 著:筒井康隆



 


北から南へ、そして南から北へ。突然高度な文明を失った代償として、人びとが超能力を獲得しだした「この世界」で、ひたすら旅を続ける男ラゴス。集団転移、壁抜けなどの体験を繰り返し、二度も奴隷の身に落とされながら、生涯をかけて旅をするラゴスの目的は何か?異空間と異時間がクロスする不思議な物語世界に人間の一生と文明の消長をかっちりと構築した爽快な連作長編。


「人生で一番面白かった小説」

そう語る人が跡を絶ちません。巨匠筒井康隆が綴るこの物語は、私たちが生きるうえで大事なことを教えてくれます。良質な物語は本の中だけでは終わりません。私たちの頭の中にまで入ってくるんです。

最高の読書体験をどうぞ。


個別紹介記事⇒生涯最高の一冊になる理由。筒井康隆『旅のラゴス』

 

67 ゴールデンスランバー 著:伊坂幸太郎



 


衆人環視の中、首相が爆殺された。そして犯人は俺だと報道されている。なぜだ?何が起こっているんだ?俺はやっていない―。首相暗殺の濡れ衣をきせられ、巨大な陰謀に包囲された青年・青柳雅春。暴力も辞さぬ追手集団からの、孤独な必死の逃走。行く手に見え隠れする謎の人物達。運命の鍵を握る古い記憶の断片とビートルズのメロディ。スリル炸裂超弩級エンタテインメント巨編。


2008年の本屋大賞を獲得したこちらの作品。ずっと評価の高かった伊坂幸太郎が満を持して、といった感じでした。
どれもこれも面白いのが伊坂作品ですが、こちらは話のスケールといい、伊坂幸太郎の持ち味の炸裂具合といい、誰にでも自信を持って薦められます。

エンタメ度…☆×5


68 神様のカルテ 著:夏川草介



 


栗原一止は信州にある「二四時間、三六五日対応」の病院で働く、悲しむことが苦手な二十九歳の内科医である。職場は常に医師不足、四十時間連続勤務だって珍しくない。ぐるぐるぐるぐる回る毎日に、母校の信濃大学医局から誘いの声がかかる。大学に戻れば最先端の医療を学ぶことができる。だが大学病院では診てもらえない、死を前にした患者のために働く医者でありたい…。悩む一止の背中を押してくれたのは、高齢の癌患者・安曇さんからの思いがけない贈り物だった。二〇一〇年本屋大賞第二位、日本中を温かい涙に包み込んだベストセラー、待望の文庫化。


重い、だけど涙が出る。

これは売れますよ。いい物語であるポイントってのは「どれだけ読者の感情を揺さぶるか?」です。そしてこの作品を読み始めれば、あなたの感情は上下左右に揺さぶられまくることでしょう。

続編が出る作品にハズレはありません。

明日から頑張ろうと思える度…☆×5


69  著:垣根涼介



 


その地に着いた時から、地獄が始まった―。1961年、日本政府の募集でブラジルに渡った衛藤。だが入植地は密林で、移民らは病で次々と命を落とした。絶望と貧困の長い放浪生活の末、身を立てた衛藤はかつての入植地に戻る。そこには仲間の幼い息子、ケイが一人残されていた。そして現代の東京。ケイと仲間たちは政府の裏切りへの復讐計画を実行に移す!歴史の闇を暴く傑作小説。


学がないもので、ブラジル移民がそんなにも壮絶な経験をしているとは全く知りませんでした。

ド直球のクライムノベル(犯罪小説)なのですが、こういった作品を書くためには犯人側から見ても、警察側から見ても瑕疵がないように構成やトリックを考えなくてはなりません。

作者の垣根涼介はこの作品で大藪春彦賞・吉川英治文学新人賞・日本推理作家協会賞をトリプル受賞しています。面白い本を探すときに権威を頼りにはしたくありませんが、それでも納得の出来栄えです。

こちらも読みながら時間を忘れられる傑作だと思います。



個別紹介記事⇒棄民が日本に復讐する壮大な犯罪小説!垣根涼介『ワイルド・ソウル』

 

70 GOTH 著:乙一



 


森野夜が拾った一冊の手帳。そこには女性がさらわれ、山奥で切り刻まれていく過程が克明に記されていた。これは、最近騒がれている連続殺人犯の日記ではないのか。もしも本物だとすれば、最新の犠牲者はまだ警察に発見されぬまま、犯行現場に立ちすくんでいるはずだ。「彼女に会いにいかない?」と森野は「僕」を誘う…。人間の残酷な面を覗きたがる悪趣味な若者たち―“GOTH”を描き第三回本格ミステリ大賞に輝いた、乙一の跳躍点というべき作品。


乙一なんか言うことないですよ。だって面白い小説しか書かないんですから。
それでもやはり、乙一の名を世に知らしめた『GOTH』を紹介しないわけにはいかないでしょう。こちらの作品には乙一の美味しいところが凝縮されてます。「こいつ天才!」と膝を打ちます。打ちすぎて膝を悪くします。グルコサミンの出番です。

力を抜いて臨んでください。きっと綺麗にひっくり返してくれますから。


 

71 ぼくの、マシン 著:アンソロジー



 


00年代(西暦2000年~2009年)の10年間に国内で発表されたSF短篇から、歴史に残る作品をよりすぐった傑作選。


ちょっと毛色を変えましてアンソロジーになります。

そしてひとつ謝らなければなりません。私はこの作品の中で上遠野浩平による『鉄仮面をめぐる論議』しか読んでいないんです。申し訳ない…。

ですが、そんなこの本を語る権利がない私ですが、この『鉄仮面をめぐる論議』が大好きなのです!!正直な話、今まで読んできた物語の中で一番好きなんです。上遠野浩平の小説は「最高に興奮する」とか「どんでん返し」とか、そういったものではないんですよね。言うならば「深み」なんですよ。この短い物語の奥の奥までを感じさせられて、それがもう脳みその芯を刺激してくるんですよ。意味分かりますか?分かりませんよね。

上遠野浩平が好きな方は必見の傑作です。短編ですが、彼の魅力が凝縮されています。先に『僕らは虚空に夜を視る』を読んでおいてもらうと更に楽しめます。

SF堪んない度…☆×5


72 ウォッチメイカー 著:ジェフリー・ディーヴァー



 


“ウォッチメイカー”と名乗る殺人者あらわる。手口は残忍で、いずれの現場にもアンティークの時計が残されていた。やがて犯人が同じ時計を10個買っていることが判明、被害者候補はあと8人いる―尋問の天才ダンスとともに、ライムはウォッチメイカー阻止に奔走する。2007年度のミステリ各賞を総なめにしたシリーズ第7弾。


数あるリンカーン・ライムシリーズの中でも最強のどんでん返し度を誇ります。作者のジェフリー・ディーヴァーは小説を書くために生まれてきた男のようです。ちなみに妹さんも小説家なんだとか。さらにディーヴァーはテリー伊藤みたいな顔をしています。

小説家になって良かったね。


個別紹介記事⇒どんでん返しがある、と先に言い切る凄さ。『ウォッチメイカー』



 

73 夜は短し歩けよ乙女 著:森見登美彦



 


「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町に、下鴨神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求めた。けれど先輩の想いに気づかない彼女は、頻発する“偶然の出逢い”にも「奇遇ですねえ!」と言うばかり。そんな2人を待ち受けるのは、個性溢れる曲者たちと珍事件の数々だった。山本周五郎賞を受賞し、本屋大賞2位にも選ばれた、キュートでポップな恋愛ファンタジーの傑作。


これも売れちゃったんでね…紹介しておきましょう。

森見登美彦が生み出す女性は、もてない男達の理想を具現化したようです。ホントに可愛いです。天然といえば聞こえはいいですが、隙だらけな感じが安心感を与えるんですよね。

本屋大賞2位ですから、面白いのは間違いありませんよー。


個別紹介記事⇒『夜は短し歩けよ乙女』に森見登美彦のチャレンジを感じた 



 

74 仮面山荘殺人事件 著:東野圭吾



 


八人の男女が集まる山荘に、逃亡中の銀行強盗が侵入した。外部との連絡を断たれた八人は脱出を試みるが、ことごとく失敗に終わる。恐怖と緊張が高まる中、ついに一人が殺される。だが状況から考えて、犯人は強盗たちではありえなかった。七人の男女は互いに疑心暗鬼にかられ、パニックに陥っていった…。


東野圭吾め…どれだけ傑作を生み出せば気が済むんだ…。

そんなことを思わせるぐらい小説界を縦横無尽に駆け抜けている東野圭吾。彼が一人いれば大体の読者層はカバー出来てしまうんじゃないでしょうか?

元々、江戸川乱歩賞でデビューした東野圭吾ですが、推理小説に限界を感じ始めたことで色々な取り組みを始めます。その中で生まれたのが先に紹介した『ある閉ざされた雪の山荘で』や『むかし僕が死んだ家』、『悪意』などの傑作が生まれます。

そんな彼が生み出した最高の推理小説がこちらです。まさに最強。読めば分かる。読まなければこの驚きに値する経験はできない。それでもいいなら読まなくていいです。


 

75 人体模型の夜 著:中島らも



 


一人の少年が「首屋敷」と呼ばれる薄気味悪い空屋に忍び込み、地下室で見つけた人体模型。その胸元に耳を押し当てて聞いた、幻妖と畏怖の12の物語。18回も引っ越して、盗聴を続ける男が、壁越しに聞いた優しい女の声の正体は(耳飢え)。人面瘡評論家の私に男が怯えながら見せてくれた肉体の秘密(膝)。眼、鼻、腕、脚、胃、乳房、性器。愛しい身体が恐怖の器官に変わりはじめる、ホラー・オムニバス。


中島らもの作品の中でも異色です。短編集なのですが、あまりにもキレッキレなのでたぶんクスリをやりながら書いたんじゃないかなと思っています。


個別紹介記事⇒【小説紹介】 中島らも 『人体模型の夜』 ドラッグが生み出した傑作 

 

 

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76 村上海賊の娘 著:和田竜



 


和睦が崩れ、信長に攻め立てられる大坂本願寺。海路からの支援を乞われた毛利は村上海賊に頼ろうとした。その娘、景は海賊働きに明け暮れ、地元では嫁の貰い手のない悍婦で醜女だった…。


マンガ的すぎる?中身がない?

はあ?何言ってるんですかあなた達は。小説なんてね、面白ければそれでいいですよ。お菓子に価値を見出そうとするようなものです。食べて美味しい。読んで面白い。それだけで価値があるんです。

ハチャメチャ度…☆×5


77 クラインの壺 著:岡嶋二人



 


ゲームブックの原作募集に応募したことがきっかけでヴァーチャルリアリティ・システム『クライン2』の制作に関わることになった青年、上杉。アルバイト雑誌を見てやって来た少女、高石梨紗とともに、謎につつまれた研究所でゲーマーとなって仮想現実の世界へ入り込むことになった。ところが、二人がゲームだと信じていたそのシステムの実態は…。現実が歪み虚構が交錯する恐怖。


これ実際に書いているのはほとんど井上夢人でしょうね。この流麗なリーダビリティは彼にしか生み出せません。
こちらも当時の最先端をいく「バーチャルリアリティ」を題材にしたもの。『クリス・クロス-混沌の魔王』と被っているので悪しからず。

それで終わる?!度…☆×5


78 オリンピックの身代金 著:奥田英朗



 


小生 東京オリンピックのカイサイをボウガイします―兄の死を契機に、社会の底辺ともいうべき過酷な労働現場を知った東大生・島崎国男。彼にとって、五輪開催に沸く東京は、富と繁栄を独占する諸悪の根源でしかなかった。爆破テロをほのめかし、国家に挑んだ青年の行き着く先は?吉川英治文学賞受賞作。


奥田英朗作品紹介しすぎですね。すいません。だけどこれは本当に紹介せずにはいられないんです。
とにかく熱い。暑い。アツい!読んでいて汗が滴り落ちそうなぐらいです。もうね、夏には読めませんよ。

だけどそれくらの熱量があるからこそ、こんなにも物語の中に引き込まれるのでしょう。島崎と一緒に東京オリンピックをボウガイしましょう。

 

79 海賊島事件 著:上遠野浩平



 


海賊。―それは常に奪う側に立ち、奪われる側には決して立たぬ者。魔法が文明を支配する世界の中で、海賊ムガンドゥ一族に略奪される危機が訪れる。全面戦争も辞さぬ強大な魔導艦隊が彼らに要求するもの、それは完全密室の中で起きた殺人事件の容疑者だった―全世界が緊張する中で海賊は一人の女を呼ぶ。その名はレーゼ・リスカッセ。そして彼女には、仮面を付けたとても奇妙な友人がいて―この世で最も美しい死体と、三代に亘る一族の歴史をめぐる因果の先に待つものは、勝利か敗北か、それとも―。


これは入れようかどうか迷ったんですよね~。いえ、面白いのは間違いないです。保証します。ただ前作を読んでおかないと、面白さが伝わるかどうか不安だったんです。ただそれだけ。
設定と話の展開にめちゃくちゃ興奮します。クライマックスのシーンは垂涎モノでした。(注:私は上遠野浩平の熱狂的なファンです)

ムガンドゥ三世大好き度…☆×5



こちらが前作です。めっちゃ面白いんです!

 

80 さまよう刃 著:東野圭吾

 

 


長峰の一人娘・絵摩の死体が荒川から発見された。花火大会の帰りに、未成年の少年グループによって蹂躪された末の遺棄だった。謎の密告電話によって犯人を知った長峰は、突き動かされるように娘の復讐に乗り出した。犯人の一人を殺害し、さらに逃走する父親を、警察とマスコミが追う。正義とは何か。誰が犯人を裁くのか。世論を巻き込み、事件は予想外の結末を迎える―。重く哀しいテーマに挑んだ、心を揺さぶる傑作長編。


犯罪被害者が救われることはありません。そしてまた被害者家族も同じです。

読者はこの犯人を許すことはできないでしょう。それはどれだけ読み進めても変わりません。キレイ事小説であれば「憎しみの昇華」なんて体裁を取るかもしれません。しかし東野圭吾は人々が避ける領域にあえて突っ込んで作品を仕上げてきました。キレイ事は何ひとつありません。読んでいて苦しささえ感じる作品です。

ですが一読の価値ありです。東野圭吾の魂に触れたような気になりました。

読み進めるのが辛い度…☆×5


81 第三の時効 著:横山秀夫



 


殺人事件の時効成立目前。現場の刑事にも知らされず、巧妙に仕組まれていた「第三の時効」とはいったい何か!?刑事たちの生々しい葛藤と、逮捕への執念を鋭くえぐる表題作ほか、全六篇の連作短篇集。本格ミステリにして警察小説の最高峰との呼び声も高い本作を貫くのは、硬質なエレガンス。圧倒的な破壊力で、あぶり出されるのは、男たちの矜持だ―。大人気、F県警強行犯シリーズ第一弾。

 

横山秀夫お得意の警察小説です。これは凄いですよ~。何が凄いって、出てくる警察達の最強感が半端じゃないです。どいつもこいつも事件解決をしちゃう雰囲気が満点で、見ていてワクワクが止まりません!
あとは横山秀夫が記者時代に築き上げた経験が遺憾なく発揮されている点ですね。臨場感が素晴らしいです。


そして当然の切れ味。間違いないです。

刑事たちの最強度…☆×5


82 黒い家 著:貴志祐介



 


若槻慎二は、生命保険会社の京都支社で保険金の支払い査定に忙殺されていた。ある日、顧客の家に呼び出され、期せずして子供の首吊り死体の第一発見者になってしまう。ほどなく死亡保険金が請求されるが、顧客の不審な態度から他殺を確信していた若槻は、独自調査に乗り出す。信じられない悪夢が待ち受けていることも知らずに…。恐怖の連続、桁外れのサスペンス。読者を未だ曾てない戦慄の境地へと導く衝撃のノンストップ長編。第4回日本ホラー小説大賞大賞受賞作。


これほど読者を恐怖の底に叩き落とした作品は他にないでしょう。文章だけで怖がらすってどんだけ凄えんだよ?って感じです。
幽霊なんて出てきません。恐いのは生身の人間です。それ故に、実生活にまでのその恐怖感が侵食してくる始末。

これを読んでから一人暮らしのアパートに帰るのが怖くなったのはいい思い出です。


個別紹介記事⇒知り合いに勧めて好評だった小説6冊目 『黒い家』貴志祐介 



 

83 怒り 著:吉田修一






殺人事件から1年後の夏。房総の漁港で暮らす洋平・愛子親子の前に田代が現われ、大手企業に勤めるゲイの優馬は新宿のサウナで直人と出会い、母と沖縄の離島へ引っ越した女子高生・泉は田中と知り合う。それぞれに前歴不詳の3人の男…。惨殺現場に残された「怒」の血文字。整形をして逃亡を続ける犯人・山神一也はどこにいるのか?『悪人』から7年、吉田修一の新たなる代表作!


この人は人物を描くのが好きなんでしょうね。丁寧に描写することで読者は物語の中に没頭できます。やはり共感なくして、没頭はありえませんから。
重いテーマを抱えているし、タイトルからも攻撃的な感じを受けるでしょうが、意外と素直に楽しめるエンタメ的な作品でもあります。ガツンとしたのが読みたい人にはオススメです。


個別紹介記事⇒単純な物語に飽き飽きした人に贈る。吉田修一『怒り』



 

84 海賊とよばれた男 著:百田尚樹



 


一九四五年八月十五日、敗戦で全てを失った日本で一人の男が立ち上がる。男の名は国岡鐡造。出勤簿もなく、定年もない、異端の石油会社「国岡商店」の店主だ。一代かけて築き上げた会社資産の殆どを失い、借金を負いつつも、店員の一人も馘首せず、再起を図る。石油を武器に世界との新たな戦いが始まる。


まあ偉人伝なんでしょうね。ただ偉人の話で鼻血が出るほど興奮したことありますか?まあ私もないですけど。

百田尚樹の作家としての才能は本物です。イヤなやつだろうが、受刑者だろうが、赤ちゃんだろうが、誰が書こうが面白い作品に罪はありません。

日本人が好きになる度…☆×5


85 深夜特急 著:沢木耕太郎



 


インドのデリーからイギリスのロンドンまで、乗合いバスで行く―。ある日そう思い立った26歳の〈私〉は、仕事をすべて投げ出して旅に出た。途中立ち寄った香港では、街の熱気に酔い痴れて、思わぬ長居をしてしまう。マカオでは、「大小」というサイコロ博奕に魅せられ、あわや…。1年以上にわたるユーラシア放浪が、今始まった。いざ、遠路2万キロ彼方のロンドンへ。


この本はお父さんに読ませてはいけません。何故なら、明日から家に帰ってこなくなるからです。
この本を新社会人に読ませてはいけません。何故なら、明日から会社に行かなくなるからです。

いいですか?絶対に読ませてはいけませんよ!

旅に出たくなる度…☆×5


86 64(ロクヨン) 著:横山秀夫



 


元刑事で一人娘が失踪中のD県警広報官・三上義信。記者クラブと匿名問題で揉める中、“昭和64年”に起きたD県警史上最悪の翔子ちゃん誘拐殺人事件への警察庁長官視察が決定する。だが被害者遺族からは拒絶され、刑事部からは猛反発をくらう。組織と個人の相克を息詰まる緊張感で描き、ミステリ界を席巻した著者の渾身作。


前作の『震度0』を上梓してから6年もの間、何の音沙汰もなかった横山秀夫。『震度0』がイマイチだったので、「もう才能使い果たしちゃったか…」と勝手に決めつけていました。
どうやら私の思い過ごしだったようです。この作品を書き上げるために時間が必要だったんですね!待ったかいがありました。色々な問題が絡み合う物語は他人事だからこそ最高に楽しめます。主人公の苦悩もエンタメ的には香辛料みたいなものです。

横山秀夫渾身の一撃を喰らえ!


個別紹介記事⇒横山秀夫の最高傑作『64(ロクヨン)』を読んで欲しい 

 

87 われ笑う、ゆえにわれあり 著:土屋賢二



 


愛ってなんぼのものか、わたしはこうして健康に打ち勝った、あなたも禁煙をやめられる、なにも考えないで楽しく生きる方法、超好意的女性論序説、汝みずからを笑え…などなど本邦初の「お笑い哲学者」が、人間について哲学的に、大マジメに考察した、摩訶不思議、変幻自在、抱腹絶倒の処女エッセイ集。

ここまで笑えて、しかも得るものが何もない本に出会ったことがありません。唯一無二を地で行く素晴らしく下らないエッセイでございます。偏屈な人には最高の本になることでしょう。


個別紹介記事⇒最強のエッセイを紹介する。『われ笑う、ゆえにわれあり』土屋賢二

 

88 関ヶ原 著:司馬遼太郎

 

 

東西両軍の兵力じつに十数万、日本国内における古今最大の戦闘となったこの天下分け目の決戦の起因から終結までを克明に描きながら、己れとその一族の生き方を求めて苦闘した著名な戦国諸雄の人間像を浮彫りにする壮大な歴史絵巻。秀吉の死によって傾きはじめた豊臣政権を簒奪するために家康はいかなる謀略をめぐらし、豊家安泰を守ろうとする石田三成はいかに戦ったのか。 

上中下巻の全1500ページ以上にも渡り、関ヶ原に関わった武将の思いや策謀の数々を描ききった作品。とにかく情報量がとんでもなく、圧倒されること間違いなし。

関ヶ原と題してはいるものの合戦自体を描いているのは下巻の最後の最後。そこまでは執拗なまでにこの世紀の大戦に至るまでの過程を書き記している。

これだけの文量を読まされるのだから、むしろ名作じゃなければ納得できないと思う。

結果は誰もが知っているが、それでも読ませ、そして学びの多い作品。

 

個別紹介記事⇒映画『関ヶ原』の原作は映像化を想像できないような壮大な作品だった 

 

89 燃えよ剣 著:司馬遼太郎

幕末の動乱期を新選組副長として剣に生き剣に死んだ男、土方歳三の華麗なまでに頑な生涯を描く。武州石田村の百姓の子“バラガキのトシ”は、生来の喧嘩好きと組織作りの天性によって、浪人や百姓上りの寄せ集めにすぎなかった新選組を、当時最強の人間集団へと作りあげ、己れも思い及ばなかった波紋を日本の歴史に投じてゆく。「竜馬がゆく」と並び、“幕末もの”の頂点をなす長編。 

司馬遼太郎の名作をもういっちょ。

この人ね、天才だよ。間違いない。今まで歴史小説なんてまったく興味がなかった私をこんなにも魅了させてしまうんだから。

関ヶ原も最高だったけど、こちらの『燃えよ剣』も垂涎の一冊。

理解不能な性格、圧倒的な強さ、そしてふてぶてしい生き方。

『燃えよ剣』を読んだ私の土方歳三に対する印象は“魔人”である。人外と呼ぶに相応しい男であろう。

時間を忘れさせてくれる小説にここ最近出会っていなかったが、これはまさしくそれ。

幕末を駆け抜けた土方歳三という喧嘩の天才の物語を、司馬遼太郎という天才の筆でぜひ堪能してもらいたい。

 

個別紹介記事⇒“魔人”の生き様ここにあり。司馬遼太郎『燃えよ剣』

 

90 あの頃ぼくらはアホでした 著:東野圭吾

 

命がけの学生時代!抱腹絶倒の青春記。小学校から大学まで、疾風怒濤の学生時代をパワフル&赤裸々に語る爆笑エッセイ。

現代日本を代表する超ベストセラー作家東野圭吾による最強エッセイ。個人的にエッセイはかなり好きで色々読んでいるが、その中でもこれは最高レベルの作品。他の追随を許さないほどの面白さを備えている。東野圭吾は本当に何を書かせても、面白くしちゃうんだなぁ…。
周囲を見つめる著者の冷めた視点と、フィクションとしか思えないような思い出たちとのミスマッチが絶妙な笑いを誘う。

電車の中で読むと苦しむだろう。ぜひ苦しんでほしい。

笑い堪えなきゃ度…☆☆☆☆☆

 

91 不夜城 著:馳星周

 

 


新宿・アンダーグラウンドを克明に描いた気鋭のデビュー作!おれは誰も信じない。女も、同胞も、親さえも…。バンコク・マニラ、香港、そして新宿―。アジアの大歓楽街に成長した歌舞伎町で、迎合と裏切りを繰り返す男と女。見えない派閥と差別のなかで、アンダーグラウンドでしか生きられない人間たちを綴った衝撃のクライム・ノベル。


日本にノワールという文化を根付かせた馳星周のデビュー作にして、最高傑作。これ以降はほとんど同じような作品を作り続けています。
ノワールといってもピンと来ない人が多いでしょうが、簡単に説明すると「金、女、ドラッグ、暴力」ですかね。
それに加えて文章に独特の”酔い”があります。これがとんでもなくクセになります。読んでいると気持よくなってくるんですよね。読みやすいとはまた違った感覚です。


個別紹介記事→作者に呪いをかけたノワール小説の最高傑作。『不夜城』馳星周 

 

92 明日の記憶 著:荻原浩

 

広告代理店営業部長の佐伯は、齢五十にして若年性アルツハイマーと診断された。仕事では重要な案件を抱え、一人娘は結婚を間近に控えていた。銀婚式をすませた妻との穏やかな思い出さえも、病は残酷に奪い去っていく。けれども彼を取り巻くいくつもの深い愛は、失われゆく記憶を、はるか明日に甦らせるだろう!


遂に最後になりました。最後にふさわしい作品はこちら、『明日の記憶』です。

海外で映画の撮影中だった渡辺謙が、書店でたまたま手に取った本書にあまりにも感動してしまったそうで作者の荻原浩に直接電話をかけて、映画化の許可を取ったという逸話があります。

泣ける小説はたくさん読んできましたが。これを超えるものはもう無いでしょう。泣ける小説で徹夜するのも、これで最後だと思います。 

残酷ですが非常に優しい物語でもあります。何か見えない手に心を撫でられるような感覚がありました。

ひとりでも多くの方に読んでもらいたい作品です。どうか手にとってください。

個別紹介記事⇒【小説紹介】 荻原浩『明日の記憶』1000冊の中で一番泣けた物語





以上です。長々とお付き合いいただきありがとうございました!

 

 

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