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PDCAを回すのはいつだって「誰か」

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どうも、読書中毒ブロガーのひろたつです。

私は普段誰もが知っている大企業で働いている。しかし大企業とは言っても、グループ全体を見渡せばそれこそピンからキリまで色んな会社がある。そして大きなグループだからこそ、末端は底辺も底辺、日本の底を見せられているかのような世界が広がっている。

 

今回はそんな日本の底辺に属する、私の職場の話を少ししたい。

 

 

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「PDCA」

 

ビジネスマンであれば誰もが知っている言葉である。これによって仕事が加速し、事業は前進することができる。

最近は「PDCAは古い!」と断言する人が増えていて、順番を入れ替えただけの「CAPDだ!」とか、「OODAこそが新時代のやり方!」なんていう転職サイトみたいな言葉を使いだす人もいる。でも『鬼速PDCA』なんていう本がベストセラーになったりと、結局はよく分からない。

でもこの状況を鑑みるに、世間のみんながPDCAに振り回されていることは間違いないだろう。恐るべしPDCA。PDCAは自らが回るだけではなく、世間まで回しているのか。それとも世間が回っているからPDCAが回っているように見えるだけなのか。これはなかなか深い問題である。PDCAは果たして地動説なのか天動説なのか。非常に興味深くない問題だ。10秒後には忘れていそうである。

 

で、もちろん底辺とはいえ我が社でも「PDCA」は我が物顔ではびこっており、何かあるたびに会議やミーティングの席で「PDCAをちゃんと回せよ」的な発言が飛び出す。

他の会社ではどうなのか知らんが、私の会社では上の人がそういった「流行り言葉」を使い出すと、連鎖的にみんなが使い出すという悪癖がある。

 

例えばこうだ。

工場長(私の職場は食品工場である)が何かの会議の席で重々しく「…PDCAだ」と碇ゲンドウを彷彿とさせるように言い出す。

その会議に出席した部長が「PDCAだぞ」と課長に言い含める。

今度は課長が係長に「PDCAは回ってる?」とさも知っていて当然という感じで言い出す。

そして係長は、いきなり飛び出してきた普段の日常会話ではおよそ使いそうにないビジネスワードを「どうやって末端のみんなに伝えよう」と頭をひねり、ひねっているような気になって、その内に忘れ去る。

ちなみに最後の係長が私である。

 

そしてまた違う問題が発生すると、すぐにみんなの意識はそちらへと向かってしまい、いつかのPDCAは誰も回さずに終わる。

我が社でPDCAを回すのは、いつだって「誰か」だ。

 

このように私の働く底辺の会社では「ビジネス言葉を使うと仕事した気になっちゃう」可愛いオッサンがたくさんいる。可愛いだけで仕事になるのはアイドルだけだと思っていたが、意外とそうでもないのかもしれない。

 

私の会社ではみんな会議が好きだ。

なにか重要な問題を取り上げ、みんなで難しい顔をし、考え事をしているような雰囲気を全力で醸し出し、粘性の高い重苦しい空気を全員で作り上げた挙げ句、最後に工場長の「PDCAを回していこう」みたいなありがたい発言を頂戴する。そして例のPDCAリレーを始める。それで賃金が発生する。なんだこれ。錬金術なのか。

言葉というのは、使うだけでエネルギーを消費する。エネルギーを消費するとまるで仕事をしたような気になってしまう。だから会議を仕事だと勘違いしてしまったりする。でもそれは仕事ではない。

もっと言えば、実際にPDCAを回した所で、それが仕事かと言えば「NO」である。PDCAによって「結果」が出たときに初めてそれは仕事と成り得る。仕事という言葉には、「価値を生み出すこと」以外の意味は存在しないと言っていい。

なので、ちまたで成功した人がよく語る「好きを仕事に」というのは精確ではなくて、「好きなことを使って、価値を生み出し、仕事にしよう」というのが本来の意味である。都合のいい部分だけを拾うのは、広告の常套手段であることを忘れてはならない。いつだって広告は洗脳なのだ。という話は完全に余計である。余計な話をしてしまうのは無能の証拠である。こうやって自らの底辺会社を客観的に見ているかのような物言いをしている私だが、結局はそんな会社に相応しい人材なようである。本当にありがとうございました。

 

以上。