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読書中毒が認める“面白かったタレント本”のまとめ

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どうも、読書中毒ブロガーのひろたつです。

私は基本的にベストセラーと呼ばれる作品をあまり好まない。せっかく本を読むのであれば、みんな読んだことのない本を読んだ方が、希少な経験ができるのではと考えている。いや、考えていない。ただ単に天邪鬼なだけだ。できるだけみんなとは違う方向に進んでいたい。

そんな私が特に避けているのが、世にいうタレント本である。

読書好きの私からしたら、人気者になった芸能人がその人気をいいように利用して、「これで本も出したら売れるっしょ」的な魂胆が大嫌いなのだ。それに作家が純粋に日々、読者にために文章を綴っていることを考えると、「ちょっと書いてみました」というような読者をナメた文章を読むべきではない。

 

だが、だ。

それでも中には「思ったよりも面白い…というか、かなり面白いとこちらの予想を超えてくる作品があったりする。

こういった作品に共通した特徴がある。それは、読んだときにタレント自身の魂を感じられる、ということである。

ただ、私はあくまでも読者であり、書いた本人ではない。もしかしたら私が「面白い」と感じた本の中には適当に書かれたものもあるかもしれない。しかし、それでも読者に「魂を感じさせることができた」というだけで、十分に読む価値があると思う。

 

グダグダと書いてきたが、結局は「本なんて面白ければ、それでいい」のである。

 

ということで、今回の記事ではタレント本が大嫌いな私が、「意外に面白かったタレント本」をまとめて紹介する。

 

参考にされたし。

 

 

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南海キャンディーズ 山里亮太 『天才になりたい』

芸人になりたい。でも「天才」ではないことは、自分でよくわかっている。

南海キャンディーズ山里亮太は、悩みながら、なんとかして自信をつけようとする。いわく、「張りぼての自信」。

おずおずと、でも確かに、歩を進める一人の青年の姿。

この本を手に取ったのは、単純に「面白そうなタイトルだったから」。手に取った本がたまたま山ちゃんの本だったのだ。

私のこれまでの経験から言っても、こういう出会い方をする本にハズレが少ない。

 

今でこそ昼の帯番組に出るほどの人気者&実力者として認められているが、この本を書かれた当時は鬱屈とした思いを抱えながら生きていた。その悲壮感はタイトルからも感じられることだろう。

弱さを全面に出しているからこそ、面白みが生まれるという好例。

 

 

オードリー若林 『社会人大学人見知り学部 卒業見込』

 

若手芸人の下積み期間と呼ばれる長い長いモラトリアムを過ごしたぼくは、随分世間離れした人間になっていた―。

スタバで「グランデ」と頼めない自意識、飲み屋で先輩に「さっきから手酌なんだけど!!」と怒られても納得できない社会との違和。

遠回りをしながらも内面を見つめ変化に向き合い自分らしい道を模索する。 

 

若林は極度の本好きなだけあって、文章が上手い!

話の枕もしっかりしてるし、締めも独特の切なさがあって、非常によろしい。

連載していた雑誌“ダ・ヴィンチ”で読者投票1位を獲得したのも納得の出来である。

他の本も面白いけど、完成度という意味では若林の本が群を抜いてる。

 

 

オードリー若林 『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』

 

前作『社会人大学人見知り学部卒業見込』から約4年ぶり、新作の舞台はキューバ!

航空券予約サイトで見つけた、たった1席の空席。何者かに背中を押されたかのように2016年夏、ひとりキューバへと旅立った。慣れない葉巻をくわえ、芸人としてカストロの演説に想いを馳せる。
キューバはよかった。そんな旅エッセイでは終わらない、間違いなく若林節を楽しんでもらえる、そして最後はホロリと泣ける、待望の書き下ろしエッセイです。

 

前作もそうだけど、タイトルが凝りすぎていて内容がまったく伺えないのが残念。こんなに面白いのに…。

相変わらず冴え渡る考察と、偏屈さ、そして堪らないほどの人生不器用っぷり。

そんな男がキューバのひとり旅で感じたこととは。

 

旅エッセイとしての完成度も素晴らしいけど、最後のあれが…、もう…本当に素晴らしい。

これを読んだら若林のことがさらに好きになるはず。 

 

 

松本人志 『遺書』と『松本』

 

大ベストセラーとなった『遺書』と『松本』を1冊にまとめて文庫化。

ただのタレント本とあなどるなかれ。日常生活のできごとや失敗談、お定まりの社会風刺でページ数を稼ぐのではなく、笑いに対する真摯(しんし)な姿勢とあふれんばかりの情熱が全編を通じて描かれている。さすがは「笑いに魂を売った男」と自称するだけのことはある。

 

元祖タレント本…かな?

私がこの本を最初に読んだのは確か中学生のとき。当時でさえ「読みやすい」 と感じたぐらいだったので、誰にでもオススメできる作品である。

まだ若かりし頃の松ちゃんがお笑いに対して尖りに尖っていた時期に書かれた本なので、中身はとにかく笑いのことばかり。もう笑いに取り憑かれているとしか思えない偏狭ぶり。でもそれだけイカれているからこそ、彼は誰よりも認められたわけだ。

 

笑って楽しむ本ではなく、松本人志という稀代の才能から見た“世間”を楽しむ本。とにかくキレッキレで、心地よく読めること間違いなしである。

 

Kindle版があればいいのになぁ。 

 

島田紳助✕松本人志 『哲学』

 

互いに“天才”と認め合う二人が、照れも飾りもなく本音だけで綴った深遠なる「人生哲学」。笑い、日本、恋愛、家族‥‥二人の異才が考えていることの全て! 

 

哲学とは随分と大仰なことを書いたもんだ。そこまで重々しいものではなく、才気溢れる2人の芸人によるハイレベルなお喋りである。

松本人志の才能は誰も認めるところだと思うが(最近は劣化がひどいけど)、島田紳助の圧倒的な分析力はまだあまり理解されていないように思う。奴こそバケモンである。全部計算だから。

不祥事を起こした自分が悪いのだが、島田紳助が表舞台で活躍することはもうないことが残念でならない。まあきっと本人からしたら「もうアホどもの相手をしなくて済む」ぐらいにしか考えていないのかも。

 

 

槙田雄司(マキタスポーツ)『一億総ツッコミ時代』

 

ああ息苦しい 一億総ツッコミ時代。

ツイッターで気に入らない発言を罵倒し、ニコ生でつまんないネタにコメントし、嫌いな芸能人のブログを炎上させる。ネットで、会話で、飲み会で、目立つ言動にはツッコミの総攻撃。自分では何もしないけれど、他人や世の中の出来事には上から目線で批評、批難――。一般人がプチ評論家、プチマスコミと化した現代。それが「一億総ツッコミ時代」だ。

動くに動けない閉塞感の正体はこうした「ツッコミ過多」にある。「ツッコミ」ではなく「ボケ」に転身せよ。「メタ」的に物事を見るのではなく「ベタ」に生きろ。この息苦しい空気を打破し、面白い人生にするために!

異才・槙田雄司(マキタスポーツ)による現代日本への熱き提言!! 

 

こちらもタイトルの面白さから手に取った所、実は芸人が書いている本だと気付いたパターン。タイトルを読んだ瞬間に「確かに」と思ってしまった。

評価する側になるだけで自分の立ち位置を確保できたかのように錯覚してしまう人があまりにも多い。そしてそれは私自身にも言えること。

挑戦する人を笑い、失敗した人を蔑むのが当たり前の空気になりつつある。じゃあ何も挑戦せず、何も失敗しないことが正しい姿なのか?

この本自体が実は強烈なツッコみである。ツッコまれた私たちはどう反応すべきだろうか。

 

 

中田敦彦(オリラジ) 『芸人前夜』

 

初の自伝的青春小説!!

ゼロ年代、不況真っただ中のニッポンで、彼女ナシ&引きこもりのガリ勉少年が「失われた青春」を手に入れるまで。

鬱屈した学生時代からNSC入学、「武勇伝」が生まれ、すべてが始まった。

いま明かされるオリエンタルラジオ、デビュー前夜の怒涛の青春ストーリー。

 

あっちゃんは本当に優秀。見せ方を常に意識しているというか、第三者の目線を忘れていないというか、どう振る舞えばどういう効果を得られるかが分かってる。

本人を知っているだけに小説調の書き方が若干鼻に付くけれど、それでもそこはやはり中田敦彦ですよ。読者を持っていくのが上手いこと。素直に熱狂しましたわ。

自分をさらけ出すには小説という体を取らざるを得なかったんだろうなぁ、と読み終えた今は思う。それくらい明け透けな内容だし、そうやって中身をさらけ出してくれた中田敦彦という人物をさらに好きになってしまった。

…ってこんなふうに思わされたのも、あっちゃんの策略だとしたら恐ろしい。 

 

 

有吉弘行 『嫌われない毒舌のすすめ』

 

上手な媚びへつらい&ヨイショをマスターすれば面倒な人付き合いが楽になる!上司や先輩に取り入り、後輩をたらし込んで転がす逆説的な処世術入門。 

 

芸能界のトップに登りつめた男がブレイクした直後に書いた、ド直球の世渡り術。

処世術だけでは文面が埋まらなかったようで、中身は人生のもっと根源的な部分まで切り込んでいく。

仕事が無かった時期に人生の辛酸を嘗め尽くしただけあり、その言葉は本物。真に迫るものばかり。生きていくために本気になった人間の強さをヒシヒシと感じることだろう。

 

今ではもうゴールデンでニコニコしているただのオジサンになってしまったが、ブレイク前の何も捨てるものが無かった頃の有吉は本当に輝いてたよ…どす黒く。アリケンに出たときとか最高だったなぁ。

 

 

 

鈴木拓 『クズころがし』

 

どんなに嫌われても、そこそこの成功をつかめる32の秘密。

クズ、ゴミ、カス、クソ、ゲス…日夜浴びせられる罵詈雑言や炎上騒動に、涼しい顔で切り返し、したたかに生き抜いてきた稀代の“嫌われ者”が初めて明かす、人生を絶対にしくじらない“愛され”処世術。

読んだら、あなたはこの男を愛さずにはいられなくなる!! 

 

これはねー、純然たるカウンターカルチャーですな。正論に真っ向から対峙するクソ正論とでも言うべきか。世に蔓延する綺麗事を塗りつぶすドロ発言とでも言おうか。とにかく強烈にして衝撃。あの風貌から勝手に「何も考えていない男」と決めつけていただけに、次々に繰り出される暴力的な言葉の数々に打ちのめされてしまった。

 

中でも特に秀逸なのが…

“才能がない奴は努力をするな”

である。

才能がない奴が努力をしても周りに迷惑をかけるだけ、という恐ろしく真っ当な真実だ。ここまでむき出しな言葉を吐く芸人が今までいただろうか。

でもいつだって真実は残酷なものだ。残酷さを見るに耐えないからこそ、人は綺麗事というラッピングを施し、事なきを得ている。臭いものには蓋、残酷さには綺麗事、である。 

クズであるが故に最強という稀有な芸人、鈴木拓。彼の言葉には真実がある。

 

 

終わりに

タレント本でまとめるつもりだったけど、気が付けば全部芸人の本になってしまった。

郷ひろみの『ダディ』を代表するような暴露本も面白いのだろうが、そういうのは正直、私には合わなかった。きっとワイドショー的なものが好きな人が読むのだろう。別に人それぞれである。好きにすればいい。

 

以上、また面白い作品を見つけ次第更新していく。 

 

それにしても、小説が無いなぁ。自分の偏見が邪魔してるのか、タレントの書く小説は全然評価できないんだよなー。