俺だってヒーローになりてえよ

何が足りないかって、あれだよあれ。何が足りないか分かる能力。

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ラップ好きなら『フリースタイルダンジョン』を観よ!即興ラップの真髄がここにある。

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どうも、ラップ大好きひろたつです。

なんだか最高に面白そうな番組を見つけちゃいましたよ。

フリースタイルダンジョン

即興ラップ(フリースタイル)の腕を5人のモンスター(プロラッパー)と戦い、賞金獲得を目指す番組。
プロラッパーをモンスターと称すなど、従来のMCバトルにRPG要素などを取り入れたのが特徴。
収録場所はクラブハウスとなっており、一般の観覧募集もしている。

MCがZEEBRAってのが気になる所ですが、これはいい番組!

◯因縁が絡んでいる


挑戦者もモンスターも歴戦の猛者たちです。今までに直接対決をしたメンバーもいるぐらいです。
特に私がツボだったのは、この二人の対決。

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R-指定とDOTAMAです。

MCバトルで4年前にR-指定がDOTAMAに負け、それから今度はR-指定が3連続で勝っています。R-指定が強いのもそうなんですけど、「同じ相手とどれだけ戦ってんねん」て話です。
スタイルが全然違う二人ですし、バトルが泥仕合になるのは必至。いとうせいこう氏のコメントにもあるように「手当たり次第にものを投げつけあってる」感がすごいです。
バトルは5:40~から。


こういった因縁が絡んでいると、ここでやっているバトルだけじゃなくてもっと奥の人間ドラマが垣間見えるので余計に面白くなります。

◯ラップの理解が深まる


「YoYo 俺のスキル ヤバ過ぎる だからお前をKill 観客を率いる そんな俺はミカエル」

的なやつをよくラップでは聞きますが、私は常々「やばすぎるスキルってなんじゃい」と思っていました。



だってあんな、リズムに乗せてべらべら喋るだけの作業にスキルもクソもないでしょ?

って思ってたんですけど、この番組に出ている、いとうせいこう氏ら有識者の秀逸なコメントと、モンスターたちが控室で語る内容を聞いてから意識が変わりました。「そういうことね」って。

◯ガチだからこそ、最高の試合がある


この番組に出ているメンバーはみんな台本を用意してはいないでしょう。だからこそ、あれだけ言葉の応酬ができるし、必死感が伝わってくるんですよね。
番組はこの記事を書いている時点で放送が20回を超えているのですが、その中に「この番組でこれ以上の試合はないだろう」と語られる回があります。

それがこれ。


ラスボスモンスターの般若が遂に登場した回です。実の所、37歳のロートルである般若が、現役バリバリの若い世代に勝てるかどうか怪しいと思っていました。多分、番組側もそうだったのではないでしょうか。
それだけにこの試合での般若の鬼気迫るラップは、斜陽気味なラップアーティストの生き様や気概を、強烈に伝えてきてくれます。だからこそこんなにも聴いた人の胸を震わせるのでしょう。

ここまでの盛り上がりがあるのも”真剣勝負”だからこそ。だってここまで盛り上がってしまったら、他の試合がショボく見えてしまいますからね。番組的に般若の出番はもっと後まで取っておいても良かったはずですから。

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◯人間性のぶつかり合い


ラップバトルにテクニックは必須ですが、般若の試合やDOTAMAの健闘を見るにそれ以上に大事なことがあるように思います。HIPHOPってのが元々はネガティブな気持ちを乗っけた音楽ですから、上手いだけじゃ全然物足りないんですよね。

虚勢を張った「俺すげー」よりも、「今の俺は大したことないから、この舞台をきっかけに成功したい」という方がラップ本来の姿だと思うし、ドラマが生まれて面白いんですよね。
だから成功した人間のラップは面白くない。ハングリーさがないんですよね。プロ野球よりも甲子園に感動するような感じでしょうか。

テレビ東京、しかも深夜番組ですからそうとう視聴率は悪いでしょうけど、YOUTUBEの再生回数を見るに影響力はかなりありそうです。そうであれば出てくる挑戦者も一層気合いが入るでしょうし、それを迎え撃つモンスターたちも真剣にならざるを得ない。自分をさらけ出さずにはいられないでしょう。

そうした人間性のぶつかり合いが、たまんないです。

◯唯一の欠点はZEEBRAの物足りなさ


最高の番組なんですけど、唯一の欠点はZEEBRAの物足りなさです。

重鎮でしょうし、日本のヒップホップを作り上げた人物なんですけど、なんというか「薄い」んですよね。
いとうせいこう氏のように的確なコメントをするわけでもなく、番組を盛り上げるわけでもなく。

まあそれぐらいです。基本的には最高の番組ですし、報われないラッパーたちが日の目を見れる数少ない機会を提供してくれる貴重な場なので、ぜひとも継続してもらいたいものです。


では。