俺だってヒーローになりてえよ

何が足りないかって、あれだよあれ。何が足りないか分かる能力。

これ以上阿呆に溢れた冒頭文を知らない。『太陽の塔』森見登美彦

 

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どうもひろたつです。
シリーズでお届けしている”知り合いに勧めて好評だった小説”の紹介です。

今回はこちら。森見登美彦の『太陽の塔』です!

 

ベストセラー作家の処女作


以下はBOOKデータベースより。

私の大学生活には華がない。特に女性とは絶望的に縁がない。三回生の時、水尾さんという恋人ができた。毎日が愉快だった。しかし水尾さんはあろうことか、この私を振ったのであった!クリスマスの嵐が吹き荒れる京の都、巨大な妄想力の他に何も持たぬ男が無闇に疾走する。失恋を経験したすべての男たちとこれから失恋する予定の人に捧ぐ、日本ファンタジーノベル大賞受賞作。



いまや売れっ子作家の仲間入りを果たした森見登美彦ですが、作家としてデビューした時はまだ学生でした。

 

最高で最低の冒頭文

多分、森見登美彦は『太陽の塔』と書くにあたって、そうとう冒頭分を推敲したのでしょう。名作の多くは冒頭の文章が素晴らしいと良く言われますから。

ちなみにこれが『太陽の塔』の冒頭文。

 何かしらの点で、彼らは根本的に間違っている。
なぜなら、私が間違っているはずがないからだ。

『太陽の塔』という作品の内容を如実に表した素晴らしく、そして阿呆に満ちた冒頭です。
小説や映画などの”物語”は最後まで見ないことには作品の善し悪しや、自分に合うかどうかが分からないものですが、この作品だけで言えば最初の1ページを好きになれるかどうかで判断できます。
私には1ページも必要ありませんでした。冒頭だけで十分でした。

この本と出会ったのはまだ10代の頃でした。まだ小説の選び方も知らなかった私が書店で何気なく手に取った作品でした。
運命の出会いとはこのことでしょう。貪るように読みふけりました。

作中に出てくる腐れ大学生達のあまりにも哀れで、救いようのないほど阿呆で、だけど愛さずにはいられない生き様が、あの頃の私の胸をやけに捉えて離さないのでした。


森見登美彦最強の武器

物語の核を握るのは”太陽の塔”。
その異様な佇まいはこの世の全てから一切の干渉を受けません。
ただひたすらに太陽の塔であるだけ。圧倒的に異質の存在。それが太陽の塔なのです。

この小説がそこまでの異様さを持っているかはさておき、異様なまでの魅力は携えております。

特に文体。

森見登美彦にしか書くことを許されていない、知性を含んだバカな言葉達
一度読めば中毒患者になること間違いなし。それは彼の売れっ子ぶりがすでに証明しております。

きっとあなたの物語になる

女性がこの本を読んでどんな感想を持つのかは想像がつきません。

男性に限って言えば、ほとんどの方が主人公達に自分を重ねることでしょう。
そして青春時代の膨れ上がった自意識と、認めることが出来なかった青さと、自覚の無かった愚かさを思い出すことでしょう。

SF大賞を受賞しているだけあって、非常に突飛な展開になる部分もありますが心静かにして、物語に身を委ねていただきたいと思います。
阿呆どもと大騒ぎした後、不思議な爽やかさが胸に流れ込んでくるのを約束します。

人生を楽しむための一冊になることを願っています。

それでは!

 

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