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寝たきり老人に見る日本の”努力しなきゃいけない病”

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参考記事⇒ 欧米にはなぜ、寝たきり老人がいないのか

親や家族のいない人なんてかなりの少数派だと思うので、誰しもに訪れる問題でしょう。

終末医療。

バカになりに考えたことを綴ってみます。

 

○本人はどう思っているのか

記事の中にも書いてありましたが、寝たきりになった本人がどう思っているのかが分からないんですよね。
事前に家族と話し合っていたり、遺言状などを残していればいいのでしょうがそういうケースばかりではないでしょう。

しかも本人の意志を事前に確認していても日本の場合は「出来る限り延命」したいという気持ちが強く、結局は本人の意思を無視ししまうこともあるそうです。
寝たきり老人といえども体は生きようとするんですよね。そういった反応を見てしまうと、放ってはおけないとか介護を続けなきゃってなるんでしょうね。気持ちは分かりますが…ちょっと怖いです。

何が怖いって自分の意志とは無関係に延命措置をされちゃうことです。

この話をご存知でしょうか。巨匠、筒井康隆氏の「生きている脳」です。

金持ちの男が不治の病で死の床にあった。
医者は彼に言った。
「脳だけを取り出して、培養液に浸けて置けば
 理論的には何百年も生き続けることができますよ」
そのうち技術が進めば、目や耳などの感覚器官の代わりになる機械も
サイボーグの手足も開発される。神経にそれを直接接続すれば
元気な体がもう一度手に入る。それまでは培養液の中でのんびりと待てばいいのだ。

医者の甘言に乗せられ、男はそれを承諾した。
手術は無事に終了し、彼の脳髄は培養液の中に静かに浮かんでいた。
傍目にはのんびりと、安らかにたゆたっているように見えた。

術後、意識を取り戻した彼は全身の激痛に戦いた。
彼の脳髄から伸びる神経線維は全て途中で断ち切られ、裸のままで
培養液に浸されている。それが彼には全身の激痛となって感じられるのだった。

叫ぼうにもそのための口も声帯も無い。
状況を知ろうにも見るための目が無い。
誰かに話を聞こうにも、聞くための耳すらもちろん無い。
誰にも助けを求めることすらできないまま、いつまで続くのかもわからない
痛みの中で、彼は医者の言葉を思い出していた。
「理論的には何百年も」

極端ですけど、こういうイメージですよね。


○努力しなきゃいけない病


あと、これは最近よく感じることなのですが、努力があまりにも評価されすぎていて、逆に努力をしないと非難されちゃう現状がありますよね。

親の介護ってのは大変だってみんな分かってる。でもそれをやらないと”人でなし”扱いです。
これっておかしいですよね?価値観が凝り固まってる証拠です。

祖母が介護していた曾祖母が亡くなった時、「申し訳ないけど、ほっとした」と言っていたのは印象的でした。

やっぱり負担なのは間違いないんですよね。だけどそれを言いにくい空気があって…。

更に、介護を頑張った本人もまた下の世代に介護をしてもらいたいと考えてしまいます。
「私も頑張ったからあなたも」となるわけですね。


この”努力しなきゃいけない病”ってやつは日本人の持病です。
不幸自慢をするのもこの病気の症状の一種です。みんな好きですよね不幸自慢。
なぜなら、周りに「私は大変なんですよー」と公言しておけば、努力してないと責められることはありませんからね。

そしてこの病気に感染していない人は別の病気にかかるでしょう。特に「うつ」とか。

私の敬愛する坂爪圭吾さんがこんなツイートをしていました。



無理する必要はないんですよね。お互いに。
辛けりゃ逃げればいいし、逃げたくなければ戦い続ければいいし。とにかくみんな選択肢を狭めすぎです。

あの人が苦しんでいるんだから、私が楽しんじゃいけないという発想は日本人らしい慎ましい考え方でもありますが、他人や自分に強要するものじゃありません。

○自分にできることを

余計な苦しみを背負い込まない、背負い込ませないためにも自分の身に”もしも”の時が来てもいいように準備をしておきましょう。

そして介護に疲れている方は、少し見直す気持ちを持ってもいいと思います。

自分の人生なのか、他人に認められるための人生なのか?

自然に任すことは勇気のいることかもしれない。見捨てるような気持ちになるかもしれない。
でも自分の人生を悔いなく終えるためには、何が必要なのか考えてみてもいいはずです。

そんな時のために準備できることはあるはず。

皆さんの人生の一助になれば幸いです。

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